楽しい宮崎暮らし「海のあお通信」からー俵万智さんトーク
2019-09-15
「青色に変わる瞬間、いいよって肯定されるから踏み出せる」(学生部門・特選歌・宮崎大学短歌会所属・高塚美衣さん)
題詠「青」に一般・学生から1239点の短歌応募
地元紙・宮崎日日新聞社主催、俵万智さんのトークショーが開催された。この企画も数えること3回目、その年々にちなんだ題詠で短歌が募集される。1年目は『サラダ記念日』30周年に寄せて題詠「サラダ」、昨年は『牧水の恋』出版を記念し「恋」、今年は同紙連載名の「海のあお通信」から「青」の題詠となった。今回も宮崎大学短歌会から、冒頭に記した特選一首(熊本大だが宮大短歌会に所属)、佳作には現4年生と卒業生で中学校教員ししている者の二首が入賞した。さらには僕の講義を履修している1年生が、こんな歌はどうでしょう?と出してみた歌が一首入選し、宮大短歌会の基礎体力を見たようで大変に嬉しい受賞表彰の機会となった。冒頭一首のように題詠「青」で「青信号」を詠む応募短歌は多かったと云うが、「青色は肯定の色」(作者の弁)を「人生の一場面(の踏み出す)を想像させる」(俵さん評)が下句の句跨りで「から」が強調される韻律で見事に表現された一首と評された。トークでは他の入選作品にも、一首ずつ丁寧な評が添えられて、実に勉強になる機会であった。
後半は、「楽しい宮崎暮らし」というテーマのトークショー。宮日新聞文化部長の中川美香さんによるテキパキとした司会によって進行した。移住者は生まれ育ち住み慣れた人より発見があり、観光客でもわからない、住んだからこそ見えるものがあると云う。そして歌作と同様に「海のあお通信」を書くことで(ネタを探すゆえ生活の中に)これを書いてみようと立ち止まれるよい緊張感があると云うのだ。また街中や機会あるごとに「読んでいます」と読者の顔が見えるのも宮崎のよさでもあるようだ。今回のトークに入場するためには「海のあお通信」の感想を書く必要があったが、その感想キーワードのベスト5に沿ってトークが進行したのも来場者との対話性があってよかった。ベスト5とは、(5位)宮崎弁(4位)空港で(3位)梨大根(同率3位)寅さん(2位)苗字(1位)佐土原茄子、であった。このうち特に(3位)の「梨大根」の連載記事では、「宮崎ひなた食べる通信」(生産品とその生産者のあり方などが紹介されたマガジンのセット) を僕が俵さんに紹介したこともあって、「友人の勧めで」と僕自身が連載記事に顔を出していることも実に嬉しいことであった。その「梨大根」が3位に入賞したこともまた、このトークでの大きな喜びとなった。
あらためて「日本一の短歌県」を目指そう
応募短歌の多さは3回目にして最高数とか
宮崎にとっても、僕自身にとっても、俵さんの宮崎愛がこの上なく幸せ。
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