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今日の努力を明日の夢へ〜都城市市民大学講座

2019-09-04
「自然のめぐみに感謝し
 人を思いやる心を持ち
 自分にできることを見つけ」(都城市市民憲章の一節より)

都城市市民大学講座の講師依頼を年度当初から受け、この日が講座の開講日であった。居住する宮崎市から南西に約50㎞、歴史的には島津家領であったことから薩摩の文化色が強い街である。焼酎出荷量日本一を誇る宮崎県だが、その原動力たる「霧島酒造」の本社工場が堂々と市の中心部に建つ。講座の最初には、冒頭に記した「市民憲章」を受講者一同で朗読する場面があった。みなさんは躊躇なく大きな声で読まれ、もちろん僕も声を合わせた。この日の演題は「若山牧水の身体性と古典和歌」、市民憲章を声に出して読むことで準備運動は整った。まずは牧水の名歌を声に出して読み、五七調の韻律を体感してもらい、併せて『万葉集』山部赤人の長歌も。予想以上に熱心に声に出してくれる受講者の参加意欲が嬉しい。

近現代人は多くの知識を得た反面、自らの身体性を失って来た。今此処にいる自分が出す声に自覚的になり、自他の声が再び耳に返ってくることを意識的に聴解する。牧水の歌には、自らの「はらわた」「朗誦の声」「水浴びする身体」などに自覚的な表現が多くあり、また海や太陽などの自然に対して五感をフル動員して、自らも対象と一体化する意識を素朴に言葉にしている。頭でっかち運動不足の現代人がその病理を自覚するには、西行などの古典和歌を読むとさらに意識が深まる。最後にはやはり「酒の歌」について扱う。「令和」の典拠となり『万葉集』大伴旅人の「梅花の歌」は有名になったが、「讃酒歌十三首」の存在も忘れるべきではない。「ああ醜いね、利口そうにして酒飲まぬ人をよく見れば猿に似ているかもね」と世間への反逆的批判を笑いに込める。牧水「酒の歌」を紹介すると自ずと会場からは笑みがこぼれるが、その素朴で物事を溺愛する純朴な姿勢に心を打たれた方も多かったように見受けた。

「現代短歌ではどんな歌がよしとされるか?」
といった質問に俵万智さんの歌などを例にお応えする
古典を考えることは現代を考えることでもある。


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