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さびしからずや置き去りの傘

2019-08-21
ちょうど車を降りる際の急な雨
たぶん忘れる可能性は高い、と思っていても
ポケットに残る傘立ての番号札

傘の声が聞こえる「自分の都合のよい時だけ大事にしてくれて、用が済むと置き去りかよ」と。所用で県立図書館へ赴いた際に、駐車場に車を停めると今まで晴れ間さえ見えていた空から大粒の雨が落ちて来た。歩いて1分とかからない建物までゆえ「濡れていこう」とも思ったが、帰りの際に本降りになっても困ると懸念して車内に置いている傘を開いた。図書館の玄関にある番号札付鍵の傘立てに収めて館内へと入った。約2時間ほど館内で過ごし、帰る頃には再び陽が射すほどの晴れ間が出ている。あれほど「忘れる可能性がある」と意識した傘であったが、こうして翌朝になった今も、県立図書館の玄関先でさびしく一夜を明かしていることだろう。僕の手元にはむしろ、県立図書館の備品たる番号札が握られている。

「雨に濡れたくない」という願望を救世主のように叶えてくれる傘であるが、状況が変われば「無用の長物」になってしまう。東京暮らしで折畳み傘を使用していた頃は、傘立てには置かずに濡れた水分を吸い取る機能のあるケースを持参していて、建物内にも持ち込むようにしていた。傘立てに置くと間違われる危険性も高く、嘗て神保町の古本屋街でよい本が買えたと意気揚々で店を出る際に、自分の傘がなくなっていたこともあった。宮崎に来てから車の移動も多いため、長い傘を主に使用している。間違われないように湾曲した手持ちの部分に、千社札風の名前シールまで貼り付けて用心をしていた。それでも尚、焼肉店の店先で間違われたことがあるが、果たして僕の姓と名までが貼りついた手元を、どこのどんな人がさしているというのか?幸い今回はそのまま県立図書館で、人々の往来を暫くは僕の傘が眺めていてくれるであろう。

傘へのこだわりの歴史
欧州では傘をささない人も多く見かける
置き去りにしてごめんなさい、僕の傘。


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