秋の気たるや
2019-08-18
早朝の涼しき風赤蜻蛉が庭にやってきて
月陰は未だぼんやりしつつも
立秋は暦の上で8月8日であったから、既に10日間も経過したことになる。未だ最高気温は高めながら、様々な面で「秋」を感じることが多くなった。日中はともかくも早朝や夜の風に「涼」を感じる。『古今集』秋巻頭の歌「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」は観念ではなく実感であったのではないかと、宮崎に来てから思うようになった。都会のコンクリートに塗り固められていない宮崎の自然によって、こうしていま小欄を書いている僕の顔に窓から「涼風」が吹き寄せている。「よだけし」などの方言に平安時代の古語が保存されているように、自然を見つめる体感も地方には温存されているのかもしれない。
今年は温暖化の影響で南方からの外来種である蛾の存在に悩まされたが、その数もかなり少なくなった。庭先に飛来するのは「赤蜻蛉」で、例の蛾でないとこんなにも親しみ深く受け容れられるのかと自らの気持ちを疑うほどであった。赤蜻蛉の軽快な空中での身体さばきは、誠にお見事である。夜に公共温泉へ向かう道すがら、時間帯的に満月の前後だと東海上から昇る月と対面する。陸に近い位置での赤みを帯びたその陰に、思わず車を停めて眺めたいほどの衝動に駆られた。未だ「秋の月」とは言い難いが、その表情には季節の推移が表れていた。試験期間にオープンキャンパスからお盆休みと過ごすうちに、8月もはや下旬が近づいている。
温泉の柔らかい湯に浸り
梨や葡萄の果物なども登場する
そして早生みかんの季節がもうすぐそこまで来ている。
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