育った苗は立派に実り12年
2019-08-05
もう12年前のこと恩師から受け継いだゼミ生たち
僕のゼミの原型を創ってくれた
幼少の頃に好きだったSFに、「ジャイアントロボ」というのがあった。悪の組織が世界制覇のために製作した巨大ロボットを、偶々その秘密製造基地に潜り込んでしまった少年が最初にコントロール用の腕時計に声を吹き込み認識され、世界で彼にしか制御できないロボットになってしまった。少年は世界平和のためのユニコーンという組織の隊員となって、そのロボットは自らを製造した悪の組織と闘う平和のロボットに生まれ変わらせた。少年の指令でロボットは悪の組織が送り込む次なる巨大ロボットなどと闘い連戦連勝。だが最終回には悪の組織のギロチン帝王との闘いに挑み、最後は少年の指令を無視してジャイアントロボが自分の意志でギロチン帝王を宇宙に連れ去りともに隕石に衝突して自らが悪の世界制覇のために造られた存在意図とともに、諸悪の根源を地球上から断つというストーリーであった。僕はその最終回が終わるとしばらくは泣き尽くすほど泣いて、あまりに無常なロボットの生き様に色々と考えさせられた。
話題はだいぶ迂遠し、しかも直接的に結びつく比喩になってはいないが、僕の大学院の指導教授が急な病に倒れて急逝された際に、お預かりして卒論指導をしたゼミ生たちがいる。これがまさに、人生で僕が初めてゼミを担当した機会であった。その際のゼミ生たちの自由闊達な議論の展開や社会性豊かな意識には、僕自身もすっかり助けられて大学教員としての基礎基本を十分に学ばせてもらった。そのゼミ生たちも卒業して12年が経過したが、恩師の命日であるこの夏の時期に毎年欠かさずに墓参と懇親会を開催している。多くの者たちが結婚し子どもを持つ親となったが、家庭があってもこの会ばかりは必ず開催をしてくれている。昨日が12回目の会となってまた5名が集まって楽しい時間が持てた。ゼミ生たちは、何も「ジャイアンロボ」のように僕の言うことに従ったというわけではなく、まさに主体的に対話するゼミを経て卒論を書き上げ、立派な社会人となり各自の意志を持って生きている。その生き様を見続けることが、僕のゼミへの基本的な考え方に連なっているのだと毎年のこの機会に原点を振り返るのである。
平安朝文学から人生を学ぶ
生きる意味を考えた文学の議論
生きるための実学=文学の学びがここにある。
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