「轍」となる「今」を前に進む
2019-07-09
「希望」とは何か?「今」はこの時からすぐに「轍」と化し
僕らの生きるを知らぬ間に跡付ける
サザンオールスターズの「希望の轍」について先週の講義で扱い、学生の「対話記録」を読んでコメントをつけていた。昨年大晦日の紅白でも歌われたこの名曲について、あらためてその歌詞内容から考えさせられることが多かった。もとより「轍」とは「車が通り過ぎたあと地上に残る車輪の跡」(『日本国語大辞典第二版』より)という意である。走った道を振り返ればそこに必然的に「轍」ができる。だが人はその「轍」に対して無自覚であったり、敢えて目を向けるのを避けてしまうことも多い。どのような意識であっても人生の「轍」は跡付けられ続けており、常に「今」この時が次の瞬間には「轍」となる。時間軸が止まらない限り、常に人は「轍」を形作り続けるのだ。
「人生が旅」であるとは、古来から様々な詩歌で表現されてきたことだ。「通り過ぎる街の色 思い出の日々」を常に見続けながら、人は歩み続ける。「風の詩」を聴き「黄昏」をいくつも乗り越えて、「ためらい」と「あこがれ」を胸にまた明日の「希望」へと向かって歩む。学生たちの対話記録にも多く記されていたが、「希望の轍」という曲名に含まれる語彙はこの歌詞では一度も登場してこない。前述した「 」引用のような語彙によって描写される人の置かれた境遇が想像され、自ずから「希望」へと向かう前向きな気持ちをメロディやアレンジで巧みに表現し伝えてくる隠喩性のある表現になっている。どのような「轍」が跡付けられようとも、車は前に向けて進み続ける。現代の学生たちにとっても、応援歌となるような名曲であることを再確認できる機会であった。
「情熱の重さは夜の凪 さまよう夏の日の陽炎」
前に前に進め進め若者たちよ
永遠の青春賛歌であり恋歌を胸に「熱く熱く」
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