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心の故郷を愛しているか

2019-06-17

「ふるさとは遠きにありておもふもの
そしてかなしくうたふもの」
(室生犀星の詩より)

いま住んでいる場所に、愛着があるか?生まれた場所と、いま住む場所の共通点や違いに、何を見出すことができるだろうか?もとより「住む」とは、どういうことか?東京生まれ東京育ちで、宮崎に深い愛着を持って生きている身として、空間的な往還によってあれこれと考えさえられる。「往還」とは何ぞや?「往くも還るも逢坂の関」とはあるが、「往」と「還」はいつでも柔軟に反転するもののように思う。若山牧水の記念館があるのは、生家のある宮崎県日向市東郷町坪谷と、終焉の地である静岡県沼津市の千本松原の二箇所であり、双方が呼応して初めて偉大な歌人の生涯を語り尽くすことができるように思う。牧水ならずとも、人生は歩み続ける旅なのである。

短歌は言葉としてその時々の時間に錨を下ろし、船旅の港のように思い出を保存し永遠の「ことば」にしてくれる。宮崎に住むことで、そんな有難き心に深く出逢うことができた。僕自身の「故郷」は、いまや僕自身であり脳裏であり短歌でありことばである。それゆえに短歌を愛し、家族を愛し、宮崎やその土地にいるありがたき人々を愛している。物質的で豪奢な物事だけが、豊かで幸せであるとは限らない。この世知辛さ極まりない世情で、せめて人間らしく生きるためには、柔和な人々と自然豊かな土地が求められる。宮崎に住むことになったことそのものが、「計算」や「計画」などとは縁遠い、人生の自然な営みから生まれた幸福なのである。発見した幸せを、大切にすることこそ人としてあるべき生き方だろう。

スマホにしか向き合わない人間たち
人と人が笑いあえる語り合える宮崎
心の故郷とは、いつでも自ら運命に任せて創造するものである。



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