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「花を食らひき」花を愛でる日常

2019-06-06
「花多き日向の山のやまんばは花を食らひき人食らはずに」
(伊藤一彦『微笑の空』より)
花の盛衰を見つめて

花を飼う、とでも言うのが的確な表現であろうか。家の中に置いているいただいた鉢植えの花の成長を、この1ヶ月ぐらい観賞し続けるのを楽しみにしている。当初から咲いていた花が衰えてきたかと思えば、伸びてきた茎先の蕾が小さく開き始めて新たな光が生まれて来る。俗に「植物にも話しかけると美しく咲く」などと云うが、本当に”飼い主”の期待をわかっているのかと思うことさえある。「生命」への思いやりはあくまで身近にあり、特別な思いというわけではあるまい。小さな蕾が実に見事な色に花を咲かせる生命力を、心の底から大切にしようと思える社会であって欲しい。7年目にしてようやく宮崎での生活の奥深さが、見えるようになってきた気がする。

冒頭の伊藤一彦先生の歌では、山の妖怪である「やまんば」を取り上げて「花を食らひき人食らはずに」と伝説では「人食ひ」であるはずだが「花を食らひき」と、日向の「やまんば」の特長をユニークに語る。もとより昔話や伝説でも「やまんば」は山の神のごとき存在であり、心の清らかな里人に恩恵を施したりもする。日向の山には実に多くの花が咲く、そこに住む「やまんば」ならばきっと「花を食らう」であろうとする想像。同時に「花も人も生命である」ことを、深く考えさせられる。宮崎では道の辺にも大学キャンパスにも、多くの花が咲いている。市や県や法人がこうした整備に力を注ごうとする謙虚な豊かさがある。植物を大切な「生命」として共生する穏やかな心を、この土地でこそ育みたいものである。

庭にも咲いた天に伸びる真紅の花
花巡りの散歩などしたらさらによいだろう
「花多き日向」誇るべき自然。



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