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「今泣くべきは」生きていれば辛いこともあるよ

2019-05-28
「バスの中に泣き叫ぶ赤子もつと泣け今泣くべきは汝のみならず」
(伊藤一彦『微笑の空』より)
泣くべき時に泣いておくこと・・・

宮崎のどこが好きなのだろう?在住7年目にして、最近は深くそんな自問自答をしている。表面的物理的な「好き」ではなく、この地に宿っている「こころ」を知るには、やはり短歌の読みを深めるのが近道であると思う。こんな意図もあって、宮崎が全国に誇るべき歌人・伊藤一彦先生の短歌をあらためて読み進めている。ただ読むだけでは表層にのみ触れるようなので、毎日一首を選び、日々の僕自身の生活と結びつけて小欄に記している。本当に受け取るには自らの「命」を「キャンバス」にし表出することで初めて、愛誦するという域に至るものと信じる。伊藤先生の宮崎でこそ得られた歌境にこそ、この地の豊かな可能性が満載されているのである。余所者である僕が、本当に「宮崎」で生きるための不可避な道ではないかと思う。

本日の冒頭の一首にも、様々に考えさせられた。「バスの中に泣き叫ぶ赤子」は、どこにでもある光景であるが、多くの客たちは「早く泣き止め」と言わんばかりに迷惑顔をするのが常であろう。「赤子」の母親も周囲に対して悪いと思い、叱ったりすれば尚更「泣き叫ぶ」状態になるのは、多くの人が体験する光景ではないだろうか。その「赤子」に「もつと泣け」と、この歌は呼びかける。下句ではバスに乗車して泣き声を聞いている人すべてに、いやこの社会に生きている人々の全員に「今泣くべきは汝のみならず」と核心を突く。「赤子」は体裁も構わず泣くが、多くの「大人」たちは泣きたくとも泣くのをこらえ、自らの精神を歪めてはいないのだろうかと考えさせられる。今年度から始めた講義「日本の恋歌」の講義学習記録で、多くの学生の知性・感性に触れているが、「辛いのを避けるために恋に踏み出せない」という趣旨のコメントに出会うことが多い。「赤子」ならぬ「学生」時代には、単位よりも何よりも「恋に泣く」経験の一つこそが重要な「人生の必修単位」のようにも思うが、いかがであろうか。

悩むより進んで泣く
辛さを分かち合える家族や友人がいる
優しく寛容な社会の希望が宮崎には確実にあるのだ。


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