無農薬米農家の秘話
2019-04-11
高価な無農薬米に秘められた話農薬を使用した凄惨な体験から
地方生活者の生き方ここにあり
毎日食する米を選ぶのは、誠に大切なことだと心得ている。母が米どころ新潟の出身ということもあり、従来は新潟米に勝るものなしと思い込んでいた。確かに全国的な市場では、その評判が一般的であろう。東京に住んでいた頃は少なくとも「宮崎米」を食べようなどとは、ほとんど思わなかったし身近で購入することもできなかった。だが、宮崎に採用面接や赴任準備で来た頃に宿泊したホテルの朝食で食べた米の美味さには、誠に驚きを覚えるものがあった。最近は自宅からさほど遠くない米専門店で「無農薬合鴨米」という、比較的高価な逸品を好んでいる。昨日も米櫃の底が尽きたので米店へ出向き店主と会話した。「この米は美味しいですね。無農薬ですし」と問いかけると、生産農家の秘話を教えてくれた。
無農薬米は1Kgあたり¥570と高価であるが、それには理由がある。嘗てこの米の生産者も蔓延る雑草類を除去するために農薬を使用していたと云う。だが耕作作業を長年重ねていると、指が曲がるように変形する異常を覚えてしまったそうだ。そこでこれは農薬の仕業に違いないと思い、その農薬を含んだ米を孫子に食べさせるわけにはいかないと一念発起し、手間のかかる「無農薬」生産を頑張って続けるようになったと云うのだ。雑草の手作業での除去や害虫への対策など、誠に苦労は多いようである。だがそれは、田畑耕作における日本の原風景ではないのか。「都市的」とも言える「生産性の高い成長戦略」とはまったく逆行しているが、「成長しない社会」を予見し「健康」という名の「自然」とともに生きる地方生活者の価値ではないだろうか。ある統計に拠れば、2013年頃から地方移住者が嘗ての約3倍に増えたと云う。不思議と僕の宮崎赴任の年と一致する。その生活を好んでいる僕にとって、この米を「選んでいる」ことそのものが、生活方針の象徴のように思えるのである。
生産者の生き方が見える作物
丹念に地道に「便利」に頼らない生き方
耕作の苦労に思いを致し今朝も朝食をいただきます。
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