この如月の望月のころーイチロー引退の夜
2019-03-22
「願わくは花の下にて春死なむこの如月の望月のころ」(西行法師)
「死んでもいいと思うのは、こういう日のこと」(イチロー)
「実際には死にませんよ」と言いながら、イチローが会見で述べた「死んでもいい」には心底ゾクッとした。かの歴史に名を刻む歌人である西行が、冒頭に記した著名な歌を詠み、その通りにこの世での所業を終えたことはあまりにも有名だ。この夜は「旧暦二月十五日」であり、東京では桜が開花したと云う。東京ドームで開催されたMLB公式開幕戦にて、イチローは選手として終止符を打った。約1年間のシアトル・マリーナーズでの選手と会長補佐としての特別な過ごし方に、イチロー自身も忘れられない深い感慨を抱き、この夜を迎えたようであった。まさに現代の西行のような芸術的とも言える引退のあり方だ。
会見での語録を今朝の小欄のみで語り尽くすことは難しいゆえまたの日に譲るとするが、頭に浮かぶ感慨のみをここに記しておきたい。アリゾナでのキャンプで、ネット近くにいる日本人女性ファンから「イチローさん好き」と言われて、「朝から告白されてもね」と答える茶目っ気。僕自身はキャンプ地やシアトル・セーフコフィールドで、「フェイクイチロー」と地元ファンに称され、深くファンらと交流機会が持てたこと。(どうやらその当時の髪型とサングラスで「フェイク」に見えるらしい)イチローの車が駐車場から出て行くところで、そのファンらに押されて着ているレプリカユニフォームの背番号を向けられ本人に示したこと。セーフコフィールドの右翼後方の席から、タッチアップの走者をレーザービームで刺した守備を生で観られたこと。そしてあのロスでのWBC決勝の優勝の空気にスタンドで浸れたこと。僕にとってがすべてが、人生の大きな思い出である。
こうした生活ルーティンそのものが
イチローさんへの尊敬から発するものでもある
ありがとうイチローさん!野球の「研究者」として僕らの仲間として活躍して欲しい!
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