図書館に物語を創る
2019-03-16
構造・設計に学生の生活がどのように学ぶ物語を持つか
ただ学べと建物を造ればいいわけではない
附属図書館の仕事で、他大学の図書館視察に赴いた。指導教授を同じくする同門の研究者が所属する玉川大学へと向かう。2014年に開館したという豪華な造りの建物が、小田急玉川学園駅からすぐに目についた。正門でIDをいただき左手には噴水のある池が、その奥には学生食堂や教職員レストランなどテラスある横広の洒落た建物が見える。図書館は図書館機能のみならず、上層階には講義棟や教員研究室も備わっている。6階まで上がると早速、友人の研究者が出迎えてくれた。研究室のある階に入るにはIC付職員証が必要で、複数箇所のロックの掛かる自動ドアを越えた。研究室もドアからしてガラス張り、外から中が丸見えである。建物全体の概念として開放性という点が実に巧みに仕込まれた上質な造りである。地方国立大学が到底真似できる範疇ではないが、その研究・教育環境として何を学んで活かせるかという意識が重要であるように思う。
まずは、図書館長の先生や改修計画に関わった課長さんに歓待いただきお話を伺って、図書館スペースの見学へと向かう。まず興味深かったのは課長さんが語ってくれたことで、使用する「学生の物語」が随所にあること。通学時に駅から自然にこの建物に入り、もともとキャンパス内の敷地にあった丘を登るがごとく講義室へと向かう感覚。講義後には生じた課題意識を調べるために、そのまま低層階の図書館スペースに足が向くようになる。図書館の入口は高級ホテルを思わせる豪華さで、コンシェルジュがいるような荷物置き場もある受付カウンター。検索すると自動で蔵書が搬出されてくるシステム。ディスカッションできるスペースと静かなスペースを分割し照明の種類を変えるなど、学習環境の雰囲気の演出も憎いばかりである。椅子の高さや机の形状なども一様にならず、多様な学びの方法や集中度が可能な空間となっている。また周囲の窓を取り巻くように個室的な空間があり、IC学生証を翳すとディスプレイに使用状況が提示される。いずれも学生がどのような生き方の物語の中でそこを使用するか、農学部などの学生が文学部の女子学生との交流を求めて図書館にやって来るなど、いかなる動機でもこの建物が交流広場になる発想が大切であると云う。誠に多くの学びがあり、本学図書館の「アカデミックコア」構想にも活かせる収穫が多かった。
学生生活の素晴しさ
図書館という場で進む学び・交流・恋心
将来を担う人材を育て地域と繋がれる場として。
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