劇団こふく「ただいま」三股公演千秋楽
2019-02-18
「いま そこは ふるさとあなたが いる そこは ふるさと」
(「ふるさと」作詞:永山智行・作曲:かみもと千春 より)
公演そのものがはねた後、三股町の方々が大きな「おかえり」と書いた横断幕を客席横いっぱいに広げ永山さん以下、出演した役者のみなさんを讃え出迎えた。そして冒頭に記した「ふるさと」の歌をみんなで唄った。「いまここ」それは「三股」、劇団こふくが全国10ヶ所を巡るツアーの千秋楽。昨夏、宮崎県立芸術劇場からスタートし広島・いわきにはぜひ行きたかったと云い、札幌から沖縄まで全国の人々が「いまここ」そして「帰るそこ」を感じたツアーであったことだろう。引き続き行われたトークにて、その足取りが出演者全員によって和やかに語られた。あらためて、この芝居空間に居合わせることができたこと、それが三股町であった幸せを感じるひと時であった。
機械的無機質なナレーションは、リエゾン(複数人の連結音声表現)とソロとの出し入れも絶妙で、実に単純素朴に行なっているようで高度な稽古と演出の妙を冒頭から感じさせた。ことばはもちろん和みの宮崎弁で、芝居の人間臭さと表現性が方言によってより豊かに心地よく伝わってくる。舞台上手の片隅にある水道栓からブリキバケツに垂れる水音が、時折役者の声の伝道と間の取り合わせを、絶妙に覚醒させるかのような演出も憎いばかりである。そこに描かれた人々は、「普通の人々のかけがえのない日常」である。観客である我々と等身大を生きる人々の「暮らし」が、この宮崎の三股の劇団であるからこそ描けた「自然」の中に展開する。奇しくも、昨日の小欄には、「いま」を見つめるといった趣旨のことを書いたが、作・演出の永山智行さんとは何度か小学校などで仕事を共にしたことがあり、その感性に縁と共感ありを深く確かめることができた公演であった。
親への愛情も
恋も愛もすべてが「いま」をどうするか?の中に
「私たちのいま続いている日常を守る」のである。
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