まずは創ってみるー短歌を教育へ
2019-01-09
ゼミの新年初回全員で題詠「新」の歌作
小中学校で必須の短歌実作
毎年新年初回のゼミでは、即詠にて全員に歌を創ってもらう。以前は60人規模の講義科目でも実施していたが、今年からは国語専攻専門科目の担当となったためゼミのみでの実施となった。題詠は「新」。4月から現場で教員となる4年生、採用試験に向けて即戦力としての力を養うべき3年生、それぞれが新年のあらたしき心を三十一文字に込めた。特に現在の教員採用状況は、ここ2〜3年の急激な定員増によって、「合格」を目標とするのではなくすぐに現場で子どもたちに向き合える心構えと素地を養うことが重要であると思われる。そのような意識で学生生活を送れば、自ずと採用試験は突破しているというのが実情ではないだろうか。ゼミ生たちの歌には、新たな決意、光陰矢の如しの思い、年末年始の団欒の光景などが表現され、各自の心の向け方が興味深かった。
今年の僕の目標の一つとして、「短歌と教育」について深く考えようという思いがある。現状の小中学校では短歌(または俳句)の実作は必須である。だが問題なのは、指導する教員に「歌心」がないことである。何かとてつもなく高度なことを求めているように聞こえるかもしれないが、そうではない。決して短歌を専門として実作せよというのではなく、せめて歌作の経験と嗜む気持ちが欲しいということである。様々な機会に「短歌実作」の話題を出すと、多くの現場の先生は「よくわからないので指導できない」と回答することが多い。だが単純に考えてみよう、その「先生」が腰を引いている「短歌実作」を、子どもたちには前向きにせよと〈教室〉で強要しているのである。「よくわからない」のなら、踏み込んでみよ。要は教員養成や研修において、「短歌実作」を学ぶ場が求められているのである。「わからない」と軽視される短歌教材を救済するためにも、この環境を創ることが急務なのである。
素朴な三十一文字を尊重する
腰を引かず楽しんでことばに向き合ってみる
「短歌県みやざき」から「短歌を教育へ」の発信も進めて行きたい。
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