新年歌会題詠「原」ー第331回心の花宮崎歌会新年会
2019-01-07
「九州の原は『ばる』なり西都原、国原、われの棲める平原」(伊藤一彦『月の夜声』より)
題詠「原」
松の内5日にて第一土曜、心の花宮崎歌会新年会が開催された。恒例により新年は市内の宮崎郷土料理の老舗の大広間で、15時より歌会、18時より新年会が催される。新たな年に伊藤先生をはじめ宮崎の歌仲間のみなさんと一年の「健詠」を願う貴重な機会ともなる。前半歌会の題詠は「原」、事務局長の福原さんのお名前に由来する題である。福原さんが毎回作成してくれる「こころの花だより」には、伊藤一彦先生の「原」が詠み込まれた歌が掲載されていたが、冒頭に表示したのもその一首、九州わが地宮崎でも地名に「原」とあれば「ばる」と読む。嘗ての県知事の姓が「東国原」であったことは、このことを全国に知らしめたと言ってもよいだろう。伊藤先生はコメントに、日本語は掛詞を重視するので家(ご自宅)近くの「矢的原神社」では、「腹」が健康であるようにと祈願するというコメントもあった。
さて歌会では過去最多得票とも思える11票を、宮大短歌会の学生会員の歌が獲得。歌そのものの紹介は控えるが、「原色」という題詠の活かし方に「図鑑」というアイテム、さらには「図書室」という「学校空間」の情報の密な場所を思わせる光景から、誰もが思い描ける場面で実に不思議な現象がまことしやかに見られそうな現実感を伴って描写された秀でた歌であった。他にも高点歌では「原人」「原則」「原点」「海原」「草原」「高原」「原告」などと題が多様に詠まれた歌について積極的に議論が為された。中でも文語「む」の使用について、推量・婉曲の意味や文節の中での置き方など文法に関する問題。丁寧な描写が為されているが、お膳立てが整いすぎるという指摘。随所に「散文的」と批判する指摘など、新年から活発な歌会となった。
牧水没後90年以後へ
宮崎大学での短歌研究の認知度
宮崎大学短歌会の大学短歌バトルの出場
(自身の新年会挨拶の要点より)
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