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「かの太陽をこころとはせよ」ー牧水未発表歌

2018-12-12
「降ればかくれ曇ればひそみ晴れて照る
 かの太陽をこころとはせよ
 大馬鹿になる法を詠めと乞はれて 牧水」

この日、宮崎日日新聞一面見出しは「牧水の未発表歌」であった。前日に宮崎県立図書館が記者発表したもので、宮崎市内に在住の元医師が収集していた条幅の中に全集にも収められていない未発表歌が書かれていた。その収蔵品を元医師遺族が県立図書館に寄贈したことで発見された、という経緯である。宮崎日日新聞の記事によると、伊藤一彦先生は「おおらかで、ありのままという牧水の人生観がよく出た歌。代表歌に入れたい価値ある一首。」と評価している。未発表歌の書かれた条幅は、牧水の長男・旅人さんが24年前に「恐らく大正十一年頃の書」と鑑定していたが、今回は旅人さんのご長女・榎本篁子さん(沼津市若山牧水記念文学館館長)が牧水の遺墨であると確認された。

条幅を翻字すると冒頭のように短歌二行書、三行目に左注(詞書)が付されており、その下に「牧水」の落款がある。「おおらか」なのは歌の内容のみならず、牧水様とも云える連綿少なく一文字一文字がわかりやすく書かれている。新聞発表では、左注の末尾が「言はれて」と翻字されていたが、一面に掲載された条幅の写真を見ると「乞はれて」ではないかと朝から気になった。実物を観て確かめようと思いつつ、内容的に牧水が他者に「乞はれて」歌を書いたという状況を考えると、大正当時の表現としては「言はれて」は馴染まず、やはり「乞はれて」が穏当である。さらには漢字語幹以下の仮名遣いも「〜はれて」と共通する。などと研究室で判断し、午前中のうちに伊藤一彦先生にお電話を差し上げた。伊藤先生もやはりそうではないかと得心されて、すぐさま県立図書館へ連絡された。その後、県立図書館館長から僕の元にメールが届き、メディアへの訂正を入れるという旨が報告されたということもあった。

太陽という自然の根源のこころ
「大馬鹿になる法」ただ素朴に自然と親和的に
日向国出身の牧水による「太陽」を素材とする歌というのも代表歌たる価値であろう。


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