作ってみてから読むー活動する文学史
2018-12-07
連歌を創る・読む体験によって深く読む意欲が湧く
知識を自ら求めるための活動型学習
講義型が一概に悪いという訳ではない。嘗て僕自身が受けた講義の中でも、担当の先生の語りが僕ら受講者の内面との対話を促し、こころを触発して動かすことを求めるようなものがあった。その講義を受けて「歌を創りたくなる」「小説が書きたくなる」「古典作品が読みたくなる」所謂”名講義”を、大学学部時代に経験した。講義が終わってすぐに図書館(当時の学部学生読書室)に駆け込んで本を貪るように読んだあの頃、やはり母校の大学の講義は素晴らしいと思った。一方で、まったく受講する僕らとの対話関係とはほど遠く、ただただ「独り舞台」で時間を浪費する講義がなかった訳でもない。
今年度から担当する「文学史講義(中近世)」にて、学生に連歌を読んで紹介するという活動を実践した。学生たちは班ごとに概ね8句ずつ、その付け合いの妙を他の班の学生に解説するというものである。前半約40分の時間内で、学生たちが一生懸命に連歌を読む姿が印象的であった。昼食後の講義でありながら、寝るものは皆無。その意欲を醸成したのは、活動型とともに前週の創作活動にある。小欄でも紹介したように学生たちによる連歌会を行い約30韻の連歌が創作された。この日も教室に行くなり「今日は連歌を創らないのですか?」と言う学生がいて、大変嬉しい気分になった。古典を読む意欲は、自らその対象を現代風でありながら創ることによって醸成される。僕が嘗て触発された名講義には足元にも及ばないが、それだけに新たな大学教育法が今求められていると思う。
活動後に知識を整理する
和歌から連歌そして俳諧へ
中近世の歌の流れを自らも再認識している。
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