「ひとりぼっちのあなたに」ー寺山修司展
2018-10-29
「孤独の中にこそ社会の秘密が隠されている」「言葉がみんな生きるとき夕焼けており種子も破片も」
(県立神奈川近代文学館・寺山修司展より)
人は死んだら「言葉」しか遺らない、そんな趣旨の寺山の「言葉」の展示にドキリとさせられた。例えば小欄に毎朝、僕は自分なりの「言葉」を遺している。Web上であればなおさら、この「言葉」はいつまでもこの世に「遺る」ということになるのか。日々の時間は何もしなくとも過ぎてしまうが、せめて前日の「自分」を残したい、と思ったのが小欄を始めた際の心境である。誰もが思い描くことを、自分しかできない「言葉」にしていくことこそ、「表現者」であろう。
県立神奈川近代文学館の「寺山修司展」を観た。短歌に関しては全歌集を読んではいたが、あらためてその短歌表現も含めてあまりにも多彩な寺山の「表現者」としての境地が深く心に刺さった。こうした様々な寺山の試みは、自らがやってきたことに根拠を与えるものでもあった。音声表現や演劇・映像などと文学を交響させる活動。研究者の中にはそれを「パフォーマンス」と呼んで揶揄した者もいないわけではないが、僕自身がやっていることの妥当性の一端を寺山の生涯が炙り出してくれたような気持ちになった。会場の様々な場所に寺山の「言葉」がまさに「パフォーマンス」風に展示されていた。それを読みながら、あらためて寺山の短歌を読めばきっと新しい読みができそうな気がしてきた。
港の見える丘公園
外国人墓地から山下公園へ
ケーキも大変に美味しかった。
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