楽しく音読すればそれもよし
2018-09-27
小学校低学年音読好きな子どもたち
まずは楽しくあれこれ言わずとも
附属学校との共同研究、この日は小学校で研究授業が実施された。テーマ(めあて)は、教材文に繰り返し出てくる文を「声と動き」で表現するというもの。登場人物の発話を、場面状況を捉えて適切に声と動きにするわけである。小学校も低学年の子どもたちというものは、声に出して表現することが大好きである。未だ音声言語で育ってきた過程の習性が抜け切れておらず、高学年や中学生などよりむしろ豊かに声を出すことができる。この日の授業でも2年生の子どもたちは、教材文を楽しむように元気に声を出してその場面を再現しようとしていた。まずは「楽しむ」ことに、僕自身も大賛成である。
低学年は同時に学習習慣・態度を身につける時期でもあるゆえ、「静かに聞く」ということを〈教室〉空間では求めている場合も多い。その結果、自由で豊かなはずの「表現」を抑制してしまうこともある。この均衡というのは指導する教師として難しいところであるが、「楽しむ」ことを貫くためにはそれなりの「勇気」も必要となる。授業内の「発表」や「表現」によく「型」を作り、その通りに当て嵌めてことば流し込むという実践もよく目にする。だがどうしてもその光景は、「作られた(作為的・虚偽的)」なことばとして響いてしまう。先日の九州国語教育学会でも、「発表者の方を教室内の全員が身体を向けて注目する」といった態度が「嘘くさい」と評する研究発表があった。誠に同感でありつつ、意義のある「演じる」表現を創る〈教室〉にこそ豊かな感性が育つとも思った。
リアルな作為・虚偽がありつつ
虚構の中での「演じる」を抑制する矛盾
大仰にいえば、日本社会の悪弊がこんなところにも顔を覗かせているのである。
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