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愛する伊勢物語

2018-07-24
「恋に正面から向き合う」
「はっきり恋の意志を表現する男子」
さまざまな愛に満ちた伊勢物語

1年生対象の担当講義「国文学講義1」が、15回の最終回を迎えた。今年から担当することになって内容・進行は手探りであったが、最終回の感触では多くの学生が『伊勢物語』に大きく心を揺さぶられたのではないかと思う。高貴な女性との叶わぬ恋に全身全霊を賭け「京にはあらじ」と東国に旅立つ。歌の詠みぶりで相手が行動を大きく変える結婚・恋愛生活。恋死にをしてしまう女。狩に出た先での禁断の一夜。仕えるべき親王(みこ)との交流。宮仕えで縁遠くなった母と交わす心。そして贈答歌の代作等々・・・。それぞれに学生たちが、自ら本文に当たり読み取り考えた内容を元に、グループ討議などの対話をしつつ進めてきた結果、彼らにとって『伊勢』がより身近な経験と比較して恋愛等を考える古典になったのだと、最後の学生たちの弁から確信を持った。

昨今の学生たちは「ライト」なものを好む。嗜好品でも「ライト」と名前に付加されたものが、目立つようになって久しい。僕などは嗜好品ゆえ「ライト」程ならむしろ味わうべきではないという考えであるが、「ライト・ノベル」への読書量が比較的高まっていることを考えれば、活字をまったく読まないよりはよいということになろう。いつ頃からだろう、たぶん21世紀になってからだ。例えば、高校教員時代に漱石の『こころ』を扱うと、生徒たちの反応が「重い」という一言に象徴される状況となった。恋愛に命懸けであるのは「重い」と否定される結果、生じてきたのが特に「草食系男子」ということになるのか?「恋はお熱く」などというのは、いつの時代のどこ吹く風なのである。この状況は世代的な晩婚化と、まったく無関係ではあるまい。だが今回の『伊勢』の講義で、女子学生を中心に「恋愛至上主義」を讃え、「最近の男子ははっきりものを言わないが、和歌で心を伝えようとする昔男は魅力的」という意見が出てきて、聊か安堵もした。もちろん彼女らの世相に抵抗的な思考であると礼讃しつつ、これまた『伊勢』の持つ古典の力ではないかと、その喚起力に敬服をした次第である。

二葉亭の「I love you」=「死ねます」翻訳
「恋愛」という語そのものは「明治ことば」であること
現代人にあるべき恋愛を取り戻すの力のある、愛する『伊勢物語』なのである。


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