郷土の素晴らしさを学びに
2018-07-15
附属中学校「大学で学ぼう」講師「附属」の意義が再考されるご時世
宮崎の郷土に根づく短歌の素晴らしさを君たちへ
「ことばよりこころのたねをみつけよう」と標題を掲げ、「短歌県みやざきに住む君たちへ」という副題によって、60分間の講義を附属中学校3年生を対象に担当した。宮崎の公立小中学校を様々な機会に訪問するが、思いの外「短歌」について積極的に学んでいるわけではないことを残念に思う。さすがに牧水の生誕地である日向市となると、牧水の歌が大きな木製の板に刻まれ校長室前の廊下やホールに掲げられている。また牧水第二の故郷・延岡でも同じように短歌を奨励している気風がある。だがなかなか全県をあげて短歌を奨励するには、まだまだ努力が必要なことを感じることも多い。それは「学校」の問題のみならず、先生方の意識を高めることも求められるであろう。こんなことを考えつつ、本学部附属中学校の生徒たちにも、牧水や俵万智さんの短歌を深く味わってもらいたいと、この機会に迷うことなくこの趣旨で講義をすることにした。
最初に「白鳥は」「幾山河」「けふもまた」の三首を挙げて、「どう音読しますか?」という問いを発して最前列の生徒たちに読んでもらった。ほぼ全員が「七五調三句切れ」で「白鳥は哀しからずや空の青」と読んでしまう。(他の二首も同様)そこで「五七調二句切れ」こそが力動感ある韻律であることを音読で体感して行くことが準備運動となる。その後、「三首の歌でどの歌が一番好きか?その理由を一言で」という問いを発し、手元に配布したミニホワイトボードに書いてもらう。比較的どの歌も均等な数の生徒たちが選び、結構気の利いた一言を添えてくれた。その後は、牧水の歌を10首ほど音読していきながら力動性を味わう講義が続き、「いざ唇を君」といった直接的な恋の歌も交えて中学生の興味を惹くよう心がけた。後半は俵万智さんの短歌へ。「宮崎のタクシー」を詠んだ短歌などから郷土を再発見する視野を与え、『サラダ記念日』の歌からは青春と恋を全肯定することをことばから実感してもらう。また「橋本高校」の連作から「教師」視点の歌を取り上げ、教育学部の意義も加えて生徒たちが好きな歌を選んで考えるといった内容で、あっという間の60分であった。
附属中学校にも短歌の波を起こそう!
今後も宮崎大学短歌会のメンバーと
中学生による合同歌会など企画したいと思う機会となった。
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