喩えようのない懐かしさー桑田佳祐さんの「しゃがれ声」
2018-06-28
いつか聴いたような懐かしさ歌詞内容が個人の経験の中に立ち上がり
あのしゃがれ声もどこかで聴いたような・・・
サザンオールスターズ40年ライブの興奮冷めやらぬ朝。ライブ後にはサザンファンとしてともに歩んで来た、同世代の一番の親友からメッセージが来た。そこには「いとしのエリーで泣きました」と記されてあり、僕自身も同次元で「泣いた」ことを返信した。事実、このライブで名曲「いとしのエリー」はあっさり前半のセットリストに入っており、イントロが流れた瞬間は「もう?」という感情に支配された。だがそれには理由があって、ライブ進行上まだ十分に余裕があるうちに、桑田さんがこの曲を熱唱するためだとすぐにわかった。もちろん、ライブ冒頭にデビュー当時の曲が並べられたという理由もあろう。だが「サビ」の部分のバラードながらの渾身の力を込めた歌い方は、明らかに桑田さんのこの曲への思い入れが溢れており、ファンとして感涙せずにはいられなかったのである。
一夜明けたこの日の講義は1限から、まだ興奮が身体内で鼓動を打っている。開口一番、「ややしゃがれ声で聞き苦しいのをご勘弁」と愛嬌を学生たちに述べた。中高教員時代から授業でいくら喋っても、喉に支障を来たすことはない。実際に一般的に見たら、「しゃがれ声」とは言えない程なのである。くり返すが、あくまでこれは「愛嬌」である。その理由として、「しゃがれ声」は桑田さんのトレードマークでもある。そんな声こそが人の心に浸透する”ビブラート”を持っているという逆説的な魅力を、学生たちに伝えてみたかったからだ。昨年、ある雑誌で「桑田佳祐特集」が組まれた際の記事にあったが、声紋判定をするとあの微妙な「しゃがれ具合」こそが桑田さんの個性であるという趣旨の分析があった。その声は、どこか郷愁を感じさせ江ノ島の古びた「おでん屋」のような懐かしを感じさせる。桑田さんの中には、声のみならず歌い方・作曲するメロディー・歌詞とともに、多くの人が懐かしさを覚える要素が多様に満載されているように思う。
話に徹底的に注目させるには
「喉(声)がおかしい」と冒頭に述べるという方法
詩歌の文学性に限りなく同次元のサザン・桑田佳祐の楽曲が大好きだ!
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