「音・声」を大切にすることー宮崎大学短歌会6月歌会その1
2018-06-12
教員研修で〈教室〉の音読を批判的に学生短歌会で「声調」のよい歌を批評する
「音」と「声」の大切さを繰り返し考える
県の研修センターと大学教育協働開発センターが合同で実施する、教員研修会の講師を務めた。午前中は教育方法論を専門とする先生が、発問と教材解釈についてのワークショップを展開。いかにして限られた時間数で、「主体的で対話的」な学びを創り出すかを具体的な小学校教材に即して講じられた。そこで扱った教材を、午後は僕が担当して音声表現を創り立体化してゆき、さらに深い教材解釈を考えるという内容である。僕の担当部分では、まず谷川俊太郎さんの詩などを教材とした「ことばあそび」から、その後は俵万智さんの短歌を教材に寸劇を創るというワークショップへ。まずは「文字」ではなく「音・声」を大切にするという意識を十分に理解していただいた。午後の中心は、「大造じいさんとがん」を群読劇仕立てにして相互に教材への気づきを深めること。現場の先生方も、日常ではここまで深い教材研究を施すこともあるまい。教材の機微を「音・声」で起こしていく作業である。
研修を終えて夕刻からは、宮崎大学短歌会の月例歌会。9首の歌が出詠されいつもながら活発な議論がなされた。参加者からは様々な観点から批評が為されるが、「音・声」のよさに着目して票を入れたというコメントも目立つ。「絡めー解く(ほどく)」といった動詞の読み方に、「音」として惹きつけられる歌。「わっ」などの擬態語を繰り返すことで、「韻律」の良さが強調された歌。このような歌が互選票の上位に入った。また「・・・まして」などの言い回しを意図的に使用した歌。「・・・じゃなく」「おばちゃん」などの口語性を活かした歌など、やはり短歌は「音・声」が重要な構成要素だと考えさせられる。そうした意味では、歌会時にの「読み上げ」にもこだわっていくことを本会の主義としたいと、あらためて提唱したいと考えている。来月の月例歌会(7月9日)に関しては、本学附属図書館にて県立図書館の「没後90年 若山牧水 企画展」の移設パネル展を開催する記念としてイベント的に開催することも決定。「ご飯」を題詠として、その食べ物が食べたくなるようなイメージ豊かな歌を競詠することになった。併せて牧水に関しては、酒の歌を中心に好んだ飲食物の歌を発掘し、学生たちで鑑賞トークを実施しようということになった。
「音・声」の大切さを再認識する
Webも含めて「文字」に圧倒される時代
生身の声を大切に〈短歌〉も〈教室〉も豊かにありたい。
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