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組織憎めど人を愛せよ

2018-05-28
中古文学会春季大会
併設の「源氏物語展」
大会開催校の労いを忘れず

先週金曜日の講義で「週末は研究学会で日本大学に行ってくる」と話すと、学生たちから微妙な反応があった。アメフト部の一連の騒動で、マスコミの過剰な報道にも曝されている日本大学。心なき世間が「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」のごとき風潮に流されているのを感じ、同業組織に生きる者として心を痛めていた。現にこの土日の中古文学会に日本大学文理学部に行くと、アメフト部の拠点学部ということもあってか正門前にはマスコミが貼り付いていて、意味もなくその光景を撮影などしている。知人のTwitterで知ったが、正門の光景がTV映像に流れそこに立て掛けてある「源氏物語展」の看板も、心なき電波に乗ったのだと云う。少なくとも「中古文学会」がTV報道される機会もなかろう、という皮肉めいた感興も抱かざるを得ないが、せめて心ある巷間のの諸氏には、日本大学は文化的に優れた活動を展開していると感じ取って欲しいものだ。

昨秋、和歌文学会大会の開催校を担当した経験から、学会大会に行ったら必ず会場校の先生には礼を尽くそうと心に誓った。今回も同じ和歌分野の研究者がおり、会場に行くや否や挨拶に伺い、帰り際にも労いの言葉を申し上げた。「源氏物語展」の準備も含めて、どれほどの御苦労があったかと想像をしつつ、同時並行した大学全体のマスコミでの扱いなどに、心を痛めていないかという気遣いもあった。その心の機微に関しては、なかなか上手い言葉にならず、むしろ誤解を与える逆な気遣いになってしまったかもしれない。それだけにである、このような大規模の研究学会の開催とともに、貴重な「源氏物語」の古典籍を日本大学が所有している事実を、より多くの人に知ってもらうべきではないかと思った。大仰な物言いをするならば、最終的な「危機管理」が可能なのは、「人文学」なのではないかとさえ思う。今回の学会であらためて芽吹いた「中古文学研究」への危機感、それを現代の人間が、至って「正常に生きる」ための糧とすべきでは、などということも考えた。

研究者仲間を僕たちは愛する
そして研究対象とする古典文学を今に蘇らせる
組織にあらず、人を愛する原点は文学にあり


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