三河国八橋といふところ
2018-04-30
『伊勢物語』第9段「東下り」「かきつばた」の咲く時季に1度は
三河八橋を歩いて・・・
所用があって中部方面を訪れているが、時間ができたので三河八橋に立ち寄った。八橋は冒頭に記したように『伊勢物語』の「東下り」で、昔男が京を発ったのち最初に出てくる名所である。蜘蛛手のように橋を八つ掛け渡してあるので「八橋」というのだ、という名前への興味を記しているあたりも気になるところである。さらに「かきつばた」が大変趣深く咲いているとあるので、季節としてはこの晩春から初夏にかけての時季であろう。まさにその時季にこそいつかは訪れたいと思っていたが、ようやくその好機に恵まれたというわけである。名鉄の三河八橋駅に降り立つと、さっそく「かきつばた祭」の幟が立っている。ちょうどこの日は、業平供養の「毎歳祭」も「かきつばた園」内の無量壽寺で行われていた。
「かきつばた園」を訪れる前に、業平が歌を詠んだとされる「落田中の一松」へ。そこは「かきつ姫公園」となっていて、中央の松を中心に公園として整備されていた。今は周辺も住宅地となっているが、川の流れも近く当時は湿地であったことがしのばれる。そこから5分ほど歩いて「業平供養塔」へ、寛平時代に業平の分骨を受けここに供養したと無量壽寺の記録にあると云う。その近くには「在原寺」が、供養の塚を守るの御堂として創建された小さな寺である。これらを結ぶ道路が「鎌倉街道」で、「東海道名所図会」にもある「根上りの松」も道すがらに見ることができた。最後に「八橋かきつばた園」へ。どうやら昨今は生育不良であるというが、それでも湿地にかきつばたの紫色が明るい太陽に映えていた。歩き疲れたのを癒すには、この土地「知立」名物の「あんまき」をいただく。かくして三河八橋の散策を堪能した。
国文学講義ではあと数回先で扱う
歌が詠まれた地を実際に訪ねてみること
文学研究へのあらたな野望が再び起ち上がった1日となった。
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