「よむ」ことと「学習」とは?ー大学教育入門セミナー
2018-04-21
大学教育入門セミナー大学の学びを創る支援教員
初回の担当では「よむ」と「学習」の意味を
3年前に教育学部に改組されて以後、初めて大学教育支援教員となった。この担当の役目は、新入生に対して大学の学びが順調に運ぶように支援することである。それゆえ「大学教育入門セミナー」という「学び方講座」のような科目も担当することになる。セミナーは「人文系」「理系」「実技系」などの系統別に分かれており、「社会」「英語「国語」を専攻とする約40名が担当するクラスで受講することになる。この日は「国語・国文学からのアプローチ(1)」として初めて講義内容を担当する回であった。「国語・国文学の特質」と「学び方」といっても様々であるが、まずは基礎基本と考えて標題のようなテーマに絞って展開するようにした。その上で、最初は「短歌県みやざき」を標榜するゆえ、牧水と俵万智さんの短歌を音読することで、講義の準備運動をするという設定にした。
「よむ」の意味として考えられることを、短文や漢語を挙げて書けるだけ書いてみよう。最初の個人思考の問いはこれである。その素材をもとに4〜5人の班を構成し、そこで手持ちのツールを何でも使用して調べつつ、班の見解を作り全体発表し共有する展開とする。スマホでの「ことば」関係のサイトや電子辞書など、発表時には調べたツールも同時に発言してもらった。その後、「日本で最大の国語辞典は何か?」の問いを発すると、何人かの学生からお決まりに「広辞苑」の発言。『日本国語大辞典』を一巻だけ教室に持参して、その大きさと意義を語る。後半はまず『論語』の「学而篇」冒頭を白文で提示し、班内で相談してどのように読むかを考える。ほとんどの学生が高1年生教科書で学んでいるはずだが、漢文学習の意義を十分に理解しているとは言い難い。「学」は旧字体にその意義は表れているが「師が手を携えて子らと心と言葉を交流させ知識や技能を提供すること」。「習」は「『学』で得た知識・技能を活用して自分自身の羽で飛べるよう活用力を身につけること」。講義と自己の学修の双方によって、初めてできないことができるようになることを実感してもらうという内容であった。
見知らぬ文献がよめるようになる喜び
人の生き様をことばから掘り返すダイナミックな営み
人文学の魅力を僕らが今大学で語らなくてどうするのだろうか。
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