いつも「同じ」であるという期待
2018-04-19
大谷翔平、投手として先発2イニング4安打3失点で降板
こんなときもあるよね
もう15年ぐらい、ボストンレッドソックスの熱狂的ファンである。それゆえに大谷翔平が先発するこの日の試合結果には、微妙な思いを抱かざるを得なかった。日本のメディアは、こぞって大谷礼讃を派手にぶち上げる。その報道に対して、「アンチ」的な気分で接しなければならないからだ。いやむしろ現状の日本社会を考えたとき、僕のように”へそ曲がり”の存在こそが必要なのではないかと思ったりもする。嘗てボストンのフェンウェィパークで観戦したとき、偶々、松井秀喜さんが所属するアスレチックスとの対戦であった。日本人のご婦人二人が話しかけて来たので、あれこれ球場の名物などを講釈申し上げた。するとご婦人方は「なぜ松井さんを応援しないのか?(敵方チームのボストンを応援するのか?)」と僕に疑問を呈した。どうやら「日本人なら日本人選手を応援するのが常識」という感覚を抱かれているようであった。僕は迷わず「信念をもってボストンを愛してますから」と答えておいた。
大谷が先発するとなると、前回登板のようにまた「パーフェクト」に近い投球をするのではという期待感だけの「空気」が高まっているように思う。だがそれは、メジャーを十分に熟知した上での期待ではない。確かにメジャー初年度の滑り出しとして、大谷の適応力は群を抜いている。その大谷が挑戦したいと思い続けた偉大な野球の次元が、メジャーにはあると思う。むしろ大谷が本当にメジャーで1流になるためには、まだまだ洗礼たる困難が必要であるはずだ。現状のMLB全球団でで開幕から勝率1位のレッドソックスは、先頭打者ベッツの本塁打からして容赦なく大谷に襲いかかった。試合全体で6本塁打10得点、これを見せつけたことが大谷をさらなる次元に掻き立てるだろう。メディアを始めとする日本社会は、「(選手は)いつも同じように期待できるもの」と捉えがちだ。大谷自身がインタビューで語っていたが、生身の選手は「いつも同じではない」のである。この社会的期待が、これまで多くのスポーツ選手を潰してきた。もちろんこれは、日本社会の歴史的「悲劇」の同線上にある。
愛すべきは批評せよ
まだ真のメジャー選手になっていない大谷
日本人選手だけが通訳を介してインタビューに応じるのも僕には滑稽に見える。
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