理髪は文化にほかならず
2018-04-15
19歳から通い続ける理髪店髪が伸びる間の老廃をリセット
いままでもまたこれからも
気にいると「トコトン」という感覚がある。ただ単に「好き」というよりも、のめり込んで嗜好する行動傾向である。そのように自己を省みてみると、どうやら母も同じような行動傾向がある。大人になるにつれて、自分自身の行動パターンが実はDNAに依存し左右されているのではないかという発見が多くなる。いまDNAと記したが、もしかすると生育環境の中で親によって植えつけられた傾向なのかもしれない。否、「どちらか」という問題ではなく、遺伝子と生育環境が混沌と融合して「今」の己が作り上げられているように思われる。その「今」こそが、生きる「文化」の継承である。
頭髪を形作るのも一つの「文化」であるとすれば、携わってくれる理髪者にも十分なこだわりがある。散髪時の感覚というのは僕にとって、どこか「ヨガ」などにも通じるものがあって、1〜2ヶ月の間に堆積したストレスや腐敗物を新たなものに更新してくれる。「切り落とす」という物理的行為が、こころの中でも同時に進行するような感覚である。よって、理髪者はだれでもよいわけではない。僕がまだ大学学部2年生だったころ、実家の近所に新たな理髪店が開店した。それまでは親の仕事関係で懇意にする街の店に行っていたが、新たなる自分になりたくてその新規開店した店に勇気を持って出向いた。総大将のような「先生」と呼ばれる人の鋏さばきには、聊かの「感動」さえ覚えた。その僕が散髪されている様子を、集中して観察する熱い視線があった。その店に修行に入っていた若い理髪師、その視線に惚れ込んでから僕は一度たりとも浮気をしたことがないのである。まさに「トコトン」なのである。
また生まれ変われる感覚
季節と状況に合わせて納得の髪型を仕上げてくれる
大切にしたい僕自身の「文化」の一つ。
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