共感し不思議がる春の素材ー第322回心の花宮崎歌会
2018-04-08
身近な素材と場面わかりやすい語彙・比喩
そして心を止める不思議さも
第322回心の花宮崎歌会が開催された。先月は大学短歌バトル当日が開催日で出席できず2ヶ月ぶりの参加ですっかり春と思いきや、この日は冬の気温であった。冒頭に事務局から諸連絡があり、その後に大学短歌バトルの出場報告が学生から、僕も観戦した感想を少々述べさせてもらった。新年度となって新入会の方や見学の方も含めて大変盛況な歌会となり、出詠数も44首にのぼった。互選得票は4票=1首、3票=5首、2票=4首、1票=13首という結果となり、これらの歌から批評をはじめる。春はじまりのときに希望に満ちて草花の芽吹きや新生活への変遷に取材した歌も多く、やはり年度替りの節目と季節感が切り離せないテーマとして文化的に根付いていることが感じられた。
互選票の多かった歌の素材を眺めてみると、「コンビニ」「嵩上げの街」「道の駅」「あまおう」「猫のひげ」「春のひかり」などであった。いずれも身近で誰しもがわかる素材を対象として、具体的な場面を思い浮かべることができる。また的確かつ意外性のある比喩、擬人化の視点が凝っている点などに複数の批評が向けられて、重層的な読みからさらに歌の魅力が浮き彫りになる。身体動作的に表現するならば、「差し込んで引き取る」とでも言おうか。「わかる」という共感を読者に抱かせつつ、不思議がらせる意外性のツボに落とすという点が重要であるという話題に学びが多かった。個人的には「春の闇」と古典和歌的素材表現と動物的身体的官能性のある歌に魅せられ1票を投じた。この歌の場合は「古歌を踏まえる」ということ、また自らの歌の場合は文語で時制の重層性を描こうとしたが、多くの読書にとって身近でわかりやすい窓口まで行けなかったと言っておこうか。
若い人も増えて新鮮なムード
懇親会もまた賑やかに
ゼミの新卒社会人が、就任1週目の疲れもみせず参加してくれたのが嬉しかった。
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