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箪笥の居場所は何処へやら

2018-03-23
「箪笥」という文化
木材の長所を活かし衣類を護る
巨大なそれが鎮座していた住宅の時代

実家の移転に伴い、1竿の箪笥が届けられた。長年、母の和服を保護してきた桜の樹素材の逸品である。移転先は都心のマンションであるゆえ、前提として大型の箪笥などを受け入れる容積にあらず。またマンションは階数にもよるが、3.11を経験した僕としては背丈の高い家具を入れるべきではないということを知っている。そんな状況下で多くの家具類を惜しみつつ処分しなければならなくなったが、母の和服の保管場所ということも重要で比較的広さのある僕の家にという成り行きとなった。しかし、引越業者が運び込もうとすると、当初予定していた置き場所の2階和室までその代物は上がらないことが判明した。

階段の角を曲がれず、無理に上げたとしても2階の踊り場から部屋に入らない。なかなか理屈の上の”実寸数値”による想定は難しいものである。そこで急遽、代案の置き場を考えることになり1階の和室に箪笥は鎮座することになった。この状況から、いくつかのことを考えさせられた。まずは「箪笥」という文化が、既に過去のものであること。マンションにはクローゼットが当初から設置され、置き場所がほとんど想定されていない。また木材の素材感を活かした衣類保護という、日本の気候に適合した知恵も失われた。木造住宅の良さを考える時、マンション構造において住宅内部で外気と呼吸をすることはなくなったのである。林業も盛んである宮崎の木造住宅に住んで5年、身体などの調子が良いのは偶然ではあるまい。

「箪笥」を知らない子どもたち
衣類保護にも無頓着になりがち
都会生活では既に多くの古き良きが失われている。


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