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裂け目潤うヒレカツの味

2018-03-14

馴染みのとんかつ屋さん
席に座ると「ヒレですね」と
その肉汁多き潤いの絶品

自分でも特段意識しているわけではないが、馴染みの飲食店は多い。しかもほとんどが手作りでこだわりの料理を出す店というのも共通点である。そこに見ているのは、明らかに「プロ意識」ということになろうか。妥協せぬ素材の吟味、突き詰めた調理法、出来立ての奉仕、客との対話、などなどの条件を揃えるのは生半可では難しい。客としてもその「プロ意識」に呼応して、「このとんかつを食べれば、疲れが取れる」といった期待感がいっぱいなのである。それゆえ時に、店のご主人などに「この栄養で助けられました」といった趣旨のことを伝えることがある。

この日も、やや久し振りに馴染みのトンカツ屋さんに立ち寄った。席に座るとご主人がお茶とおしぼりを持ってきて、「いつものヒレで」と笑顔で一言。手作りゆえに自ずと時間は要するが、絶品に揚げたてのヒレカツがやって来る。まさに「箸で切れる」かのごとく、肉の裂け目には肉汁よろしく潤った感じの食感である。この食べる者に感動を与える料理とは何だろう?さながら「短歌をつくる」ことと同じようではと思えた。素材を選ぶ、どんな方法で調理する、見栄えや香り、そして何より対象者が食べた時にどんな感慨を覚えるか、などと他者意識が大変重要で、同時に様々な要素が求められる。「料理」をすると「達成感」が得られ、精神的にもよいと聞くが、やはり「こころ」の制御という意味では、料理も短歌も似たような要素があるのではないか。などと思いつつ「ヒレカツ」に思いを込めて、再び故郷へと向かう道すがらであった。

個人営業の店こそ「人」として生きる道
東京の喧騒が虚しく見える
故郷たる馴染みの駅に降り立つのも最後の夜となった。


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