「見えても 見えなくても」NAOTAプロデュース公演
2018-03-02
「彼女が来てるね」あなたもそんなことを感じることがありますか?
そしてきっと戒められたり助けられたり・・・
声優の渡辺菜生子さんとTARAKOさん、「まる子ちゃん」相方コンビによるプロデュース公演「見えても 見えなくても」を拝見した。原案・菜生子さん、作・TARAKOさんの舞台は、明るさ温かさの中にも、人が生きているということの精緻で微妙な心のあり方が描かれる。人は「生きている」ことそのものが、「出会いと別れ」という必然的な宿命を負っているが、僕らはそれをいつしか忘れてしまったり、また自覚しないように意識的に目を瞑ってしまっているのかもしれない。「時間は取り戻せない」と誰もが知っているにもかかわらず、「今」いる「こっち」を無駄に無為にしてしまっていないか?「あっち」から来ている誰か、僕らにその意識があればこそ、「今」を生きることができるのかも。
つい先日、僕も通常では考えられない「力」を痛切に体感した。自分自身の意識や制御を超えた「あっち」から伸びて来た「ゴム紐のようなもの」とでも言おうか、決して言語では説明しきれないような「なにか」が「こっち」にいる僕に言いたいことがあるかのようであった。その体験があっただけに、今回の公演を劇場の座席から観覧した時、「驚く」では済まされない衝撃が僕の身体の中心線に迫るような感覚になった。いま「衝撃」と書いたが、聊か語弊があろう。その「感覚」が、笑いとユーモアと和やかな声と穏やかな演技で「僕の心を包んだ」という方が適切かもしれない。僕は「今」紛れもなく「こっち」で、NAOTAさんらとこの劇場空間にいるのだと。
「生きているということ
いま生きているということ」(谷川俊太郎さんの詩から)
一緒にこの劇場空間に誘った希望ある若い友人にもエールを送りながら。
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