小学校国語教材を振り返り
2018-03-01
「くじらぐも」「スイミー」「ごんぎつね」「注文の多い料理店」
名作文学で低学年教材も多く・・・
附属小中学校との共同研究年度最終回にて、例年行われている小中乗り入れ授業が実施された。今回は前回までに実践されていた古典教材の授業から、新しい趣向へと転換。小学校6年生児童を対象に「心に残る思い出の作品を紹介しよう」というテーマで、45分間の授業が3名の中学校教諭によって実践された。まずは6年間の教科書教材一覧表を見て様々な作品をまずは想起し、その後、中学校3年生が3年間の教材で同じように書いた「推薦作文」を読んでその良いところを捉える。「当時の自分と重ね合せている」「別の作品と比較している」「忘れられない言葉や文がある」「理由が具体的」などの点を、実際の作文から学ぶことで、自ら書く作文のあり方に活かせるようにする。そして約15分間で作文し最後にはペアでそれを発表し感想を述べ合うという授業であった。
実践後の授業研究では授業方法や作文のあり方にも様々な指摘が為されたが、僕自身の大きな興味は6年生が「どのような作品を選ぶか?」という点であった。統計的に確認したわけではないが、3学級で机間巡視をし、また終了後に作文を読ませてもらった概ねの印象は、低学年及び文学教材が多いということ。「スイミー」や「ずうっと、ずうっと、大すきだよ」などは元来が絵本作品、また「ごんぎつね」や「注文の多い料理店」なども目立って取り上げられる教材であった。中には説明文教材を選ぶ子どもがいないことはないが、この文学教材優位な実態は、大仰に言うならば現在の国語教材の時流に問題提起をするものと思われた。とりわけ6年生段階になって低学年文学教材を取り上げるのはなぜか?記憶に新しい5・6年生教材よりも、鮮烈に子どもの脳裏に焼き付いている理由などに興味が持たれた。
純粋な感性のうちに限定された情報量で学ぶ教材であるからか?
動作化・音読劇・紙芝居などの言語活動で学ぶからか?
絵本的な学びこそが発達段階を超えて必要なのではないか、などと思ったりもした。
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