定まってみる景色ゆかしき
2018-01-27
お気に入りの窓から見える光景四季とりどり様々な表情を見せる
それが思考の定点になって踊り始める
小学校の4年生ぐらいの頃だろうか、鉄骨3階建の自宅の屋上に6畳ほどの木造倉庫が増築された。そう時間も経たないうちに、器用な父が壁材や天井板をすべて張り付け僕が勉強できる部屋を造ってくれた。5年生ぐらいになって僕はそこへ引っ越して、離れのように独立した気持ちで好きな本などを読んでいた。食事時間となれば2階の食卓とはブザーで交信することになっていて、何回鳴らせば「食事」なのか「その他」の用件なのか、さながら「モールス信号」のようなきまりが母との間でできていた。この部屋で暮らしたことは、僕の本好き文学好きに大きな影響をもたらしたと今にして感慨深いものがある。
4階という高さは、当時としてはかなり眺めがよかった。その部屋の窓枠に収まる光景が好きで、机に座って本から目を離すとその光景をみた。次第に必ず見える会社のネオンサインが何時何分に点灯されるか、それが夏冬で違うことまで正確に把握できるようになった。虚構であろう本の世界観から、ふと現実社会を見つめるような感覚があった。その後、都市部の私立中学校受験に挑んだ僕は、国語のみならず苦手な算数や理科の勉強も一種懸命に行った。それでも視力が常によかったのは、この遠景を眺めるのが好きだったからかもしれない。同時に思考と現実との均衡においても、適度な安定が保たれたのだと思っている。
定点から眺める光景の大切さ
東の空が開けていて日々希望のあけぼのが見えることも
「自分」を形成してくれたこの場所は・・・・・・
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