「戦争」と「自由」とー平和のための「短歌甲子園」
2017-12-09
題詠「戦争」と「自由」県下から年代を超えて4チームが参加
昭和16年12月8日真珠湾攻撃から76年目
8月15日や8月6日・8月9日に比べて、〈12月8日〉のことが取り沙汰されることは少ない。この日もメディアはどれほどその意味を語ったであろうか?薄れていく悪夢の歴史的記憶、少しでもその意味を世代を超えて考える機会や場が必要である。宮崎でそんな趣旨から、弁護士さんをはじめとする市民の方々が実行委員会を組織して「平和のための戦争展」が開催されている。その催しの一環として冒頭に記した題詠による「短歌甲子園」が開催された。そこに、宮崎大学短歌会も参加させていただいた。思い返すにちょうど1年前、このイベントで本物の牧水短歌甲子園優勝校の高校生に挑戦しないか?というご提案をいただき、ゼミのメンバーに声をかけて急造のチームを編成したのが、宮崎大学短歌会創設の契機ともなった。昨年は1試合のみであったが、今年は4チームが参加し、3試合の熱戦が繰り広げられた。
多くの方が指摘し実感するように、「戦争」や「自由」の題詠(その言葉を必ず短歌の中で使用することをきまりとする短歌の詠み方)は実に難しい。ましてや「戦争」などという語彙の使用さえも、如何なものかと偏向する世情である。メディアが口を噤んで「12・08」を大々的に喧伝しないことと無関係ではあるまい。そんな中で「ことば」によって「戦争」と「自由」を考える機会は、どの年代の人々にとっても誠に貴重な機会となる。戦争経験のある方や戦後の困難な中を生きて来られた方々の歌には、リアルに「平和」を希求するこころが表現されていた。またそうでない年代の方々の表現には、「手遊び」「ゲーム」「経済侵略」「食卓の争奪(利権)」「戦争の色(イメージ)」などを題材にした歌があって、その討論の展開から表現はもとより様々なことを考えさせられた。宮崎大学短歌会はというと、「曽祖父」「姉妹喧嘩」「Tom&Jerry」などを素材として、継承される戦争話や日常生活とアニメの中の異種属の争いを詠み込んだ歌が並んだ。試合は討論の展開上も有効と思える質問・回答を繰り返したこともあったが、宮台大短歌会は初戦を突破し、決勝となる「自由」の題詠まで進んだ。学生たちは日常の大学での歌会でも、同様の忌憚のない激しい舌戦を展開していることもあり、観客席から見ていると大変頼もしい姿に見えた。2試合ともに僅差であったと思われるが、創設1周年のこの機会を「優勝」の二文字で飾ることができた。この企画に関係し様々に御尽力いただいた、すべての方々に顧問として心から感謝の意を述べておきたい。
「自由」その本質を考えること
「語り継ぐ」とは「ことば」からリアルに想像をすること
いま僕たちが立たされている状況に「ことばの力」で目を開いていきたいものである。
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