県知事へ2年越したる懇願叶う
2017-10-17
和歌文学会開会の辞県知事に依頼申し上げ
2年間で折ある毎に直接懇願して・・・
和歌文学会第63回大会を運営してみて、研究学会のあり方についても色々と考えた。古典研究を新しい時代にどう進めていくか?人文学への逆風の中で、文学研究においていかに社会的意義を見出すか?為政者が和歌を国家事業として認定していた平安朝とは違うものの、情報が溢れる時代であるからこそ、「ことばの力」に対して政治に関わる者が敏感でなくてはならないはずだ。こうした意味からも、古典系研究学会が「社会」にどのように開いていくか、という課題は喫緊のものではないかと思うのである。過去の和歌文学会では、12年前に東洋大学で開催された折はやはり一般公開もされ、総長である元閣僚の塩川正十郎氏が挨拶に登壇されて華々しい印象を持った。折しも「古今新古今の年」(それぞれの勅撰から1100年・800年)の記念大会でもあった。また京都の龍谷大学で開催された折は、大学の母体となる西本願寺所蔵の豊富な資料を展観でき、翌月曜日には国宝級の建物見学も為された。まさに私立大学はその「存在価値」の特色を前面に出して学会を開催している。
それならば、地方国立大学法人の場合はどうか?所属する大学が掲げるように、「地域から始めよう」という点が何より肝要なのではないかと思う。僕ら研究者にとっても「地域貢献」は重要な任務の一つであると認識している。幸い宮崎県は「若山牧水賞」を県を上げて制定しており、その他の諸行事も含めて短歌を大変大切にしている。県知事・副知事も短歌に理解があって、県庁内で伊藤一彦先生の短歌講座を開講したりして自身も歌を詠まれる。その牧水賞授賞式・祝賀会の席上などで2年ほど前から県知事には、今回の和歌文学会を開催するというお話を折をみて繰り返して来た。その結果、公開講演シンポジウムには公務のため副知事となったが、懇親会には知事がお見えになることになった。昨日は県庁の「文化振興課」を訪問し、知事・副知事への資料を渡し、和歌文学会の概要についてお知らせする機会を得た。それにしても居住する県の行政の長を、これほど身近に感じられるのも地方ならではの利点であろう。宮崎県は2020年に「国民文化祭」も控えており、さらなる文化振興とともに「短歌県」を名実ともに全国に示していく気運を創るべく、この和歌文学会もその契機になればと考えている。
過去63回を数える大会で
県知事が来訪したことはあったのだろうか?
まさしく自分が「この県」で生活していることを実感するのである。
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