地域の古典籍資料
2017-10-15
古典研究の醍醐味古典籍資料を紐解くこと
地域の時空を遡りゆく
古典系研究学会の一つのあり方として、古典籍の展観の実施がある。大学附属図書館に目玉となる資料がある場合には、当館の展示室にそれらが陳列されることが多い。こうした貴重書の所蔵が公開されることをはじめとして、研究学会の開催は「大学を(研究仲間に)見せる」ためのものでもある、という趣旨があるという話を聞いたことがある。2年間ほど計画し実行してきた今回の和歌文学会では、交通事情の芳しくない本学大学キャンパスを会場としない。宮崎空港や宮崎駅にバスターミナルから、公共交通機関を利用しても便利な「市民プラザ(市役所に隣接)」で開催する。平成初頭頃の郊外キャンパス移転をした大学にとって、こうした開催を余儀なくされるケースは少なくない。そこで今回は、「大学を見せる」というよりも「宮崎を見せる」という視点で臨もうという意志を固めて、これまでの準備を進めてきた訳である。開会の辞は県知事に依頼し、若山牧水や「短歌県」としての活動を講演やシンポジウムテーマの起点に据えた。それこそが地域貢献を旨とする地方国立大学法人のあり方としても、重要ではないかと思う次第である。
迂遠したが、では古典籍資料展観はどうするか?当初は県立図書館にも依頼し、貴重書をお借りする許可も得ていた。当館としては展示ケースによる展示を希望したが、なかなかその調達が物理的予算的に覚束なく、それが簡単なことではないと頓挫してしまった。このたびは断念するしかないと思っていると、市内の大学に在勤の研究者仲間(研究分野は異にする)が声を掛けてくれて、まさに地域に貴重な未調査資料があることを教えてくれた。この夏期休暇中に所蔵先を訪れ、その際には仲間の研究者も同行してくれて、貸出とともに展示ケースなしの展観許可を得た。資料の中身を知るうちに、今まで表面的にしか知らなかった地域の特性が知られてきて、僕自身も大変惹きつけられるように勉強になっている。延いては広く中近世期のこの南九州と和歌・短歌との関わりが見えてきそうな気がしている。展観資料の内容は、当日のお楽しみとしておくが、和歌文学会会員諸氏の中で、興味を持ち調査などに身を乗り出す方がいれば幸いだと考えている。
地域と繋がるとは人と繋がること
様々な厚情に感謝の日々である
あと1週間、思いを込めて「宮崎を見せる」事業を完遂したい。
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