土地の歴史を伝え続けること
2017-09-11
都城島津邸歴史伝承館近世を中心とする豊富な資料
そしてまた久しぶりにTVで観る花火
和歌文学会第63回大会へ向けて、諸方面の準備に追われている。概ね軌道に乗ったかと思えば、案内プログラムに誤記があったりと気が休まる間もない日々である。今まではどちらかの開催校へと一方的に伺うだけであったが、やはり何事も経験すると開催する側の苦労が真の意味で理解できるものだ。この日は、宮崎に伝承された古典籍資料の展観をお願いするために、島津邸歴史資料館へと赴いた。周知のように江戸時代までは都城島津家が治めていた土地、いっときは「県」として独立しようとした時期もあった都城の風土は、その歴史を深く諸資料に刻んでいるようである。和歌、特に近世期の連歌資料が多いと聞いていたが、未調査の資料も多くあって、むしろ今回の学会に展観することで、興味を持って調査対象にする研究者との邂逅があればと願う資料等である。文献的書誌情報はあまり明示できないが、まずはこのような趣旨で展観することの、ご承諾を得た次第である。
こうした資料が土地の歴史を地味に裏から跡付けるものであれば、「祭り」もまたその土地の歴史・風土と密接な関係を持った「資料」に他ならない。夕刻からBSフジが、母の故郷である新潟県小千谷市片貝町の「世界一四尺玉」花火があげられる「片貝祭り」を生中継した。つい先日、当地へ出向き墓参や親戚の家を挨拶に回った土地である。当の「世界一花火」はと言うと、ちょうど母が還暦を迎えた年に、桟敷の特等席でその重厚な大輪の華を見上げたことがある。TV放映でも強調されていたが、地元の中学校で同窓会が組織され、成人や厄年から還暦に至るまで人生の通過儀礼として同窓生の間でお金を出し合って「花火」を打ち上げる伝統がある。還暦の打ち上げは例年「連発スターマイン」だと云うが、母の同窓会があげた花火を見上げた時は、その60発の1発ごとが母の人生そのものだと感じられ、28発目からは自分もともに歩んで来たのだなどという感慨に浸り、涙で大空の華が霞んだと記憶している。TVでは華々しい「世界一」だと報じていたが、内実は高齢化過疎化などによって「花火(祭り)」の存続にも、大きな問題が生じていると聞く。あらためて土地で生きる、土地から巣立つ「人生」とは何か、そして故郷とどのように繋がり続けるか、などという人間としての大きなテーマを考えさせらる時間であった。
故郷・土地そしてその歴史
他に代え難き人生の主題でもある
そしてまた今日を生きる生き続ける
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