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ここに生きゐて汝が声を聴く

2017-08-29
「夜半の海汝はよく知るや魂一つここに生きゐて汝が声を聴く」
(若山牧水『海の声』より)
声は心に届きその心の声を聴くということ

附属小学校において学部3年生の教育実習が始まった。8月末とはいえ未だ暑い実習生講義室なる大教室に、教職大学院生を含めて100名近くが早朝から集合している。まずは全員が揃って実習が始められること、それが学部担当としての切なる願いである。学校、特に小学校教師の朝は早い。そんな生活習慣を生業にと志し、他に代え難い子どもたちとの「教育」という心の交流ある極めて人間臭い生活に向けて、まずは学生たちが「実習」という経験で学ぶ。教員養成学部にとって、これ以上の体験的学びはないといえるだろう。特にこの2年間、担当となって実習の大切さと困難さを、個々の学生の姿の中に顕に見るようになった。

紹介式(実習開始にあたり附属小教員と実習生が挨拶を交わす式)では、校長先生や実習生代表に続けて恒例の「学部引率教員挨拶」がある。昨年から少しでも個性的にと、必ず牧水の歌一首を紹介して学生たちにその心得や激励を送ることにしている。今回は冒頭の一首を披露した。先週の伊藤一彦先生の御講演で、「人の身体の中で唯一相手の身体の中に入り込むことができるものがある。それは声である。」というお話を聴いていたく共感した。「身体」を「子どもたちの心」に置き換えて、この場で学生たちに問い掛けた。実習中に「放つ声」というのは、よくもわるくも「子どもたちの心に入り込む」のである。自らの「放つ声」に自覚的であり、なおかつ子どもたち個々のどんな小さな「伝える声」も真摯に聴く姿勢が必要だ。まさに声は「魂一つ」から発せられ「魂一つ」に届き、またその反響が自らの「魂一つ」に帰るのである。

牧水は「海の声」をよく聴いた
それが自然との対話・親和の原点であろう
実習生たちよ!「魂」の声を聴け!
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