現場へつなげー国語問題
2017-08-25
漢字のとめはね・文字表記歌の句切れに五七調のことなど
先輩と語る研究者が教育にできること・すべきこと
「西日本国語問題研究協議会」が宮崎市内で開催されている。会そのものに参加すべきところかもしれないが時間的な余裕もなく、参加のために宮崎を訪れた大学の先輩と会う約束をしていた。先輩は学部時代の「万葉集研究会」での繋がりで、少々年上であるが常に目をかけてくれている存在である。また「国立大学法人」勤務の先輩でもあり、公募採用や就職に関することでも過去に多くの相談に乗ってもらった。御専門が「国語学」であり、字体・文字表記をはじめ五七調の韻律の問題など、「ことば」の専門家でもある。この日の懇談でも、教科書字体(特に中学校教科書)の問題や現場の先生方の文字表記への意識、さらには和歌・短歌・俳句の基本的な理解が現場では十分でないなどという話題を共有した。その後、協議会に参加している方々2名とも合流し、正規ではないものの実に「文化的」な懇談の場が持てた。
先輩と話していて、あらためて地方国立大学法人「教員養成学部」の使命を再認識した。前述した「問題」のみならず、「現場」における「国語教育」の問題は多岐にわたる。それらを「問題」として指摘するのは簡単である。だがそれらを修正し、現場の先生方の「意識改革」を図っていくためには多大な努力を要する。もちろん教員を志す学部生に適切な「意識」を身につけてもらうことが使命の本分であるが、すでに動いている「現場」に対して、「技術論」ではない根本的な「発想」の転換を促す活動が必要なのではないかという思いに至る。和歌・短歌の問題一つを考えてみても、五七調の歌を平然と七五調で読み上げ、意味と韻律の関係が不整合であることにまったく無頓着な「授業」があまりにも多い。また教科書やワークブックに記された内容が「短歌の技法」などとあって、作歌の現場ではほとんど意識されない”名目”を教え込むことばかりに躍起になる「知識注入型」授業から、未だに抜け出せない現状に一つひとつメスを入れる「行動」を起こさねばなるまい。「研究」は「現場」へつないでこそ、意義あるものとなるはずだ。
やはり学部時代から歌をよみ合う仲間
教科書そのものが「文学」をわからなくなってきている
せめて我々「歌」に関する研究者が、「現場」へつなぐ努力を惜しまないことだ。
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