響く「いとうつくしうてゐたり」
2017-06-02
小学生が古典に親しむには千年前という「知識」よりもことばの響き
その音に感じるみやび
現行学習指導要領における小学校の「伝統的な言語文化」教材の授業については、小欄でも何度も取り扱ってきた。その「音読中心」とされる授業内容の検討・精査が求められ、いかにして「親しみ面白い」と子どもたちが感じられるか。「親しむ」とはいうが、千年の日本語史の距離感をどう授業で実感していくか問題点は尽きない。ただただ暗誦ができれば一つの「達成」と見てよしとする風潮も、未だに否めない。さらには同じ『竹取』『枕草子』『平家』などの作品冒頭を、中学校でも高等学校でも学ぶことになる学びの段階的な一貫性の問題も尽きない。
この日、ゼミ生の教育実習研究授業を参観して気づいたことは、古語のもつことばの響きのよさを体感していくことの効用である。例えば、『竹取物語』冒頭部分の「それを見れば三寸ばかりなる人、 いとうつくしうてゐたり。」とあるうちの「うつくしうて」(音=うつくしゅーて)といったことばの響きから、「千年前」といった隔たりを実感できやしないかということである。小学生は中高生とは違ってまだ「音」に敏感である。また自ら「音読」する活動も好きで、恥ずかしがることもなく「音読」を楽しむことができる。この段階でこうした「美しいことばの響き」を体感して、古典への思いを起動する学習活動が求められるということであろう。
自明ながらも確認すべきこと
ただ「音読」をすればいいわけではない
日本語の豊かな響きをもっと〈教室〉へ
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