面白く読もう古典文学
2017-05-29
刺激的な読みと解釈面白いと感ずる根源は何か
人が生きる奥底にあるものを読むこと
中古文学会2日目、『源氏物語』を中心に7本の研究発表が行われた。個々についての具体的なコメントを記すことはしないが、こうした場での「良い研究発表」とは何かと深く考えてみたくなる。素朴に述べるならば、刺激的で面白いと感じられる「読み」が提示されている発表ということに尽きるだろうか。あるいは発表者が信念を貫く如く調査に徹している姿勢の発表も、実に潔い印象を受け、聞いていて刺激的である。いずれもいずれも、発表者本人が「面白い」と感じていることが重要であり、「発表」のための「発表」といった作為が感じられないものが良いように思えて来る。
今回は「和歌」関係の研究発表がなかったので尚更、「和歌」の面白い読みを考えたくなる衝動に駆られた。昨日の小欄に記した「和漢の声」を考えた上で『千里集』(句題和歌)を読むと、どのように面白く読めるだろうかと、ついつい様々な折に触れて考え始めている。「翻案」なのか否や、「字音」「訓読」「やまとことば」の「声」による並列なのか、読みの新たな補助線がテクストに意外な新味を感じさせる。たぶん、こうしたまさに「主体的に読もう」とする姿勢こそが、高等学校の授業などでも次元は様々ながら、指導者が起動させたい「意欲」に他ならない。まさに「読む」とは「生きる」ことだと感じられるならば、「己」を起ち上げた「面白い」古典授業を創ることに導くだろう。
「読む」ことの面白さ
混乱し苦悩することの大切さ
「生きる」とは、そう簡単にはわからないゆえの深さ
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