沈思しつつ動きながら考える
2017-05-19
「沈思して動けぬわれを追い越して洗濯機はもう脱水までゆく」
生活の一場面から生きることを考える
「沈思」を辞書で引くと、物事をあれこれ「深く考え込むこと。思案にふけること。」(『日本国語大辞典第二版』)「熟考」や「沈想」などの類似した漢語もあり、「沈思黙考」の四字熟語もある。特に文脈によっては「詩句を思いめぐらすこと。」などという意味もあり、高尚な考えを巡らしているような語感がある。効率化・高速化した現代社会では、むしろ意識して実行しないとなかなか「沈思」できない。「沈思」そのものが「停滞」などに受け取られてしまいがちである。それだけに大切なテーマに関しては、「沈思」し続けることも必要になる。次第に考え方は沈着しつつ、深い境地に及ぶことができるだろう。
だが他者との対話なき「沈思」は、「その場所」から動けなくなることも多い。時折そのような状況に陥ることもあるが、その前に設定した洗濯機は、音だけを立てながら黙々と動作を完遂する。冒頭はそんな休日の心を詠んだ歌である。その「洗濯機」になぜか教えられような気持ちになった。定点で「考え込む」ことも大切であるが、様々な行程を動きながら考えることも必要ではないかと。ここのところ学生の採用試験志願表の記述へのアドバイスを求められているが、学生たちが孤独に考えた文章は、なぜか体面や形式に囚われていて個性的でないことが多い。しばし、様々な個々の可能性に関して対話の時間を持つと、本当に学生が個性を主張している文章に変化してくる。詩句に限らず文章などは、こうした対話によって揉まれてはじめて、あるべき形が見えてくるものである。
「沈思黙考」も大切な時間
だがしかし、動きながら考える対話時間も忘れずに
人生に常に希望の明日が来るように
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