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検索による過大評価の落とし穴

2017-04-05
相応の知識とリテラシー
PC再起動までの喩えようのない時間
「偏向した自分の意見を補強する材料を手に入れるだけ」

朝は新入生オリエンテーションの受付業務から。昨日の入学式とはまた違った表情の新入生が、大学の教室を目指してやってくる。これから4年間のうち、何らかの形で彼らと接することになるが、そこで僕は何を提供することができるか。大きく成長した姿で4年後の卒業式を迎えてもらいたいなどと先走ったことも考えつつ、新鮮な学生たちの姿に「学ぶ」ことの原点を顧みたりもする。先月19日付朝日新聞書評欄に『クラウド時代の思考術』(ウィリアム・バウンドストーン  青土社2017)が取り上げられており、その評に次のような趣旨のことが書いてあった。「能力の低い人ほど自分を過大評価する」という現象があり、「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれているのだと云う。Web検索旺盛の時代にあって、簡単に検索するだけで自分が物知りだという自己認識が肥大するが、それは「偏向した自分の意見を補強する材料を手に入れるだけだ」と云うのだ。誠に至言であると考えさせられた。

スマホの普及により、学生たちも何でも即座に「検索」するようになった。本来ならば重厚な研究書や全集などの書籍で調べるべきものを、簡易に「その場」で検索して「知識を得た」気になってしまっている。「検索」を掛けた段階で、多くの候補から無意識に自らに都合のよい情報だけを取捨選択している可能性が高い。前述の書評にあるように「知識がない人ほど、楽観的」ともいえるようである。また反対に「科学的知識が豊富」であっても、「自分の政治イデオロギーに適した解釈を下す傾向が強い。」という指摘もある。同書では対応策として、「新聞やテレビなど、プロによって編集された従来型マスメディアの重要性を強調」するのだと云う。「興味のない情報」にも触れて、全方位的な視野から物事を判断する必要があるということであろう。ちょうど夕刻に、PCソフトの構成を整えていると再起動に異常に長い時間を要する状態になってしまった。「自分の都合」では全部で30分もあれば終わると踏んでいた作業が終わらなくなった。開き直って待ち時間に夕食をしに行って帰ると、しっかりPCは使える状態で待ってくれていた。やはり僕自身も、「自らに都合のよい」判断で行動していたのだ。

新入生に身につけて欲しい思考
様々な知識とリテラシーが新時代を迎えている
いずれにしても「独善を排す」ということは、いつの時代も同じである。
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