海見て石に似る男をもー牧水「日向の青島より人へ」から

2017-03-10
「檳榔樹の古樹を想へその葉蔭海見て石に似る男をも」
(若山牧水『海の聲』より)
青島での想いはいつも・・・

大学・自宅から至近の青島の海は、無条件に人を癒してくれるような場所である。何度も小欄には書き記してきたことだが、僕が宮崎で暮らすようになった「原点」も、此の地・青島にある。其処を起点に広がった人の輪によって、宮崎での生活が支えられて来ているといっても過言ではない。まさに其処での縁で結婚した親友御夫妻には、常日頃から「宮崎とは?」を教えてもらい、歩むべき道に光を照らしてもらっている。何も言わずとも心配をしてくれている、昨晩はあらためて、そんな温かい思いやりを深く感じた。「居る」とは「居住」するとは、ただ其の地に存在すればいいわけではない。其処に「居る」人々と温かい関係性を築くことなのだと痛感するのである。

冒頭の牧水歌は、青島に歌碑の建つ著名な一首。牧水若かりし頃、東郷町坪谷の実家に帰り着き、その後、父が日南・都井の無医村で診療している為に、県南へ向かう船旅の道すがら、青島に寄った際の歌であるとされている。歌の詞書に「日向の青島より人へ」とあり、恋心を抱いていた園田小枝子に向けて呼びかけるような詠い始め。青島に繁茂する亜熱帯植物群の代表格「檳榔樹の古い樹木のことを想へ」と恋人へ向けてのやり場のない気持ちを歌にしている。そして「その葉蔭で海を見ている石にも似た(頑なに動ぜずあなたのことを想い続けている)男のことをも(どうか想ってください)」という切実な恋心を吐露した歌であると解釈できる。青島神社は「縁結」のご利益ありということだが、そこに渡る浜にこうした牧水の歌碑があるのもまた、心にくいロケーションである。海というのは、「人」という生物の根源的な故郷とも云われる。その海を見ると無条件に声を出して何かを訴えたくなるのは、牧水だけではあるまい。青島の海に癒されて心情を吐露した牧水の頑な恋心がせつない。

海があり其処に自らを投げ出す
波の音があり人の声も聞こえてくる
あらためて青島の縁を思う宵の口であった。
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