優しさに泣けるのはふとした未来さ

2017-03-03
「寂しくて口ずさむ歌がある
 名も知らぬ歌だけど
 希望に胸がなる」(桑田佳祐「JOURNEY」より)

いつしか弥生三月を迎えている。今年は日々を噛み締めているせいか、睦月・如月の二ヶ月間も長く感じられた。日の出は早く日の入りは遅くなり、思わず時計を見直してしまう時もある。そんな三月は出逢いと別れの季節、地元のニュースが県立高校の卒業式を報じて涙する高校生の姿にまた心を打たれたりもする。〈学校〉で〈教員〉をしていて、どんな時よりも胸に沁みるのはこの三月である。今まで当たり前のように〈教室〉にいた生徒たちが、そこから旅立つ。卒業式を終えた翌日に空虚な教室に行くと、聊かの後悔と達成感の入り混じった体験しなければ決してわからない感慨に浸ることができる。そんな時節のせいか、冒頭に引いた桑田さんの曲を無性に聴きたくなり、車の中で流しているとまた自ずと涙が流れ、停車してしばらく運転を中断することになった。

この曲は、1994年「孤独の太陽」というソロアルバムの最後を飾る名曲。具体的な「場面」や「男女関係」を語る歌詞ではなく、題名が示すように「人生は旅」だという思いが綴られており、如何様にもその時の自分に合わせて解釈できるところが、名曲たる所以である。年末年始に行った年越しライブにおいても中盤の聴かせどころでセットリストに入っていて、新曲や著名な曲ではなく「孤独の太陽」から採られた、俄かファンなら「名も知らぬ歌」が連なるあたりで、実に脳裏に焼きついた1曲である。なぜって、1994年から自分の20年間がどうしても蘇ってきて、桑田さんの歌声と重なり合ったからである。それ以来二ヶ月間、運転しながらかなりの頻度でこの曲を聴いているわけである。その歌詞の一部をここに掲げておく。

「我れ行く処(え)に あてはなく
 人も岐れゆく 遥かな道
 旅立つ身を送る時
 帰りくる駅はなぜに見えない」

「雲行く間に 季節(とき)は過ぎ
 いつしか芽生えしは 生命(いのち)の影
 母なる陽が沈む時
 花を染めたのは雨の色かな」

「遠い過去だと涙の跡がそう言っている
 またひとつ夜が明けて
 嗚呼 何処へと”Good-bye Journey”」
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