遊んでこそ気持ちがわかる
2017-02-22
相手の気持ちを受け止めるには表情と身振りそして音を聞くこと
そしていかに遊ぶかを大切に・・・
昨日に続き芸術家派遣事業の2日目。日向市に向かう道すがらの高速道路で、急に視界が開け海が眼前に広がる橋がある。雲間から指す朝陽が海面に反射して美しく輝いており、まさに名の如く「ひゅうが(ひむか)」を実感できる瞬間である。この日は、宮崎は都城を拠点とする「劇団こふく」主宰の永山智行さんをアーティストとしてお迎えし、演劇的身体ワークショップを実践した。冒頭で永山さんが「PLAY」と大きく板書すると、子どもたちも1字ずつアルファベット読みを始める。そして一言「演劇」という意味のこのことばには「あそび」という意味もあるんだよと、「今日はみんなであそぼう」と小ホールで活動が開始された。円になって跳んで左右へ、向き合った相手と「イエィ!」、黙ったままホール一杯に図形を作り最後には漢字の「川」ができた。歩き回ってなるべく多くの人と熱い握手、次は出会った人の踵など指定された場所に触れて止まる。
こうしてアップが終わると、二人一組で相手のゆっくりした動きを「鏡」のように真似る、もちろん表情も独創的なものを創る。次にやはり二人組で車役と運転手役になり、肩を叩くと走りもう一度叩くと止まる、左右に操縦しないと壁などにぶつかってしまう。次第に車役が目を閉じて行うと難易度が上がる。さらに二人組ならではの合言葉を創り、目をつぶってバラバラにされた中からパートナー捜しをする。その後はしばらく、ある組の創った「かめかめ」ということばしか使用してはならず、その「かめかめ星人」の日曜日を相手に演じて見せ、見た側はどんな1日だったかをことば(日本語)で説明する。ここで前半終了となった。
後半の開始は、「お母さん役」と「子ども役」になって「かって。」「だめ。」をおとなしくから次第に激しく演ずることから。ことばには「はなしことば」と「かきことば」があることも紹介され、気持ちが大きくなると身体が付いてくることを実感する。「はなしことば」では「どんな音を出してどんな動きをしているか」が大切だと説かれる。再び二人組が向かい合い「ありがとう」のことばを交わすのだが、「音の大小」「高低」「間(ま)」をつけて言い合う。その後は「やわらかい」「かたい」「泥のような」「風のような」「黒い」「白い」「紫色の」などの「ありがとう」のことばが交わされる。「音が変わると相手に伝わることが変わるよ」と永山さん。それは次第に「ありがとう」ということばでは言えないそれ以上の気持ちを伝えることにつながると云う。何を言うかではなく、どのように言うかが大切であるとうこと。最後に、たにかわしゅんたろうさんの「わたし」の詩を五人一組となり、他者の気持ちになって表現する発表をして、全90分のプログラムが終了した。
小学校1年生の子どもたちの身体は解放され
〈教室〉にいるとは思えない豊かな表情
「教師も昔はあそんでいましたよね」永山さんが別れ際に僕に告げた。
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