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「片への道はいづこ行きけむ」どうしようもなく過去に根ざした現在

2017-02-05
「かの時に我がとらざりし分去(わかさ)れの片への道はいづこ行きけむ」
(美智子皇后の御歌から)
「現在はどうしようもなく過去に根ざしている」(佐佐木幸綱氏のことばより)

2月心の花宮崎歌会第308回に出席。1ヶ月に1回、自らの歌に対して様々な方々の刺激的な評を受け、また参加する方々の歌において、その生き方に触れる貴重な機会である。歌会冒頭には担当者が選んだ歌を3首ほど引いて鑑賞を施す。今回はその中に冒頭に記した美智子皇后さまの歌があった。毎年、歌会始における詠歌を読んで思うのは、美智子皇后さまの歌の卓越した品格と奥深さである。その年の題詠をこなすのみならず、必ず自らの人生をその一首は語り出しているように思うゆえであろう。ここに掲げた歌もまさに美智子皇后さまの、人生が浮き彫りになるようで深く感じ入るものがある。「あの時に私が採択しなかった、分かれて去っていったもう一方の道は、はたしてどこへと行ったのだろう」(稿者解釈による)ほどの意味だが、皇后さまにお就きになられていなかったなら、とい想像さえも誘い実に重みのある歌である。

鑑賞担当の方は、昨年の「心の花賞」における佐佐木幸綱先生の「現在はどうしようもなく過去に根ざしている。」という講評を引き、歌を詠むことが人生そのものを語り出すこと、といった点を強調された。自らが「現在」をどう生きているか、その命題に応えるには「どうしようもなく過去」を考えなければならない。人生では必ず、幾つかの大きな分岐点に遭遇する。その際に「現在」に向かう道ではない方向を選択していたとしたら?という想像は当事者にとって言葉にならないほどに重い。

この日は大学での校務を終えてから、Jリーグ鹿島アントラーズのキャンプ地を訪れた。鹿島には僕の高校教員時代の教え子、現在クラブスタッフとして”CRO”という要職に就く元日本代表・中田浩二くんがいる。今回のキャンプも3日間宮崎に来るという連絡をもらい、競技場に彼を訪ねたのである。するとこの日は、三浦カズさんの所属する横浜FCと試合があって、遠目ながらカズさんも見ることもでき、同世代としてまだ現役にこだわるその姿にも勇気づけられた。さらには横浜FCのスタッフの一人として、僕が学級担任であった同級生が来ていると中田くんが教えてくれた。(中田くんは隣の学級で僕は教科担当で国語を教えた)そしてまた彼との再会に感激し、この宮崎の地における「現在」が、「どうしようもなく過去」と連接していることに気づかされた。それだけに「あの時」、そのまま中高教員として現場での道を選択していたら、僕は「現在」宮崎にはいない。そしてまた仕事を持ちながら無謀にも研究の道を選択したのは、中田くんのような教え子が「プロ選手」として、結果を出すことがすべてな人生を選択している現実に刺激を受けたからだとも思い返した。僕自身の「片への道はいづこ行きけむ」・・・

などと考えると歌会に出した歌に
自らの「人生」が乗っていない拙さに気がついた
懇親会で酒を飲みながら、伊藤一彦先生の一言アドバイスが身に沁みた。
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