短歌県みやざきの教員養成
2017-01-11
昨年12月27日付小欄記事に「短歌県みやざきと読解力」を記した。前日26日付宮崎日日新聞コラム「海のあお通信」で俵万智さんが、「短歌県みやざき」を目指してはいかがと提案したのを受けてのことだ。それを実現するためにも今年は一歩一歩の努力が必要であると、僕も決意を固めている。そこで「短歌県」の大学における教員養成には短歌創作が不可欠と考え、この日は初ゼミにおいて新年当座歌会を実施した。題詠は「あう(会う・合う・逢う・遭う)」ここにその詠草を記録の意味も含めて、無記名で掲載しておく。冬季休暇中の話題や新年の決意、家族詠から相聞まで多彩な作品が提出された(創作時間は20分)。それは自ずとゼミ生たちの「いま」をお互いに知るに余りある、豊かな対話的ことばの交流機会となった。以下作品。
振袖に色づけられた二年前また集まろう社会人として
おおみそかゆっくり沈むお日さまとまだ見ぬ自分にあす会う約束
いつのまにお兄さんではなくなった箱根を走る駅伝大会
卒論と睡魔は少し分が悪い黒き大学逢魔が時に
久々に顔見る祖母と語る夜互いの紅白歌合戦を
『おめでとう』覚えてくれた誕生日会って言えよと少しにやける
巡り逢うこどもたちとも成長し絶対受かるぞ採用試験
声 仕草 その手に触れずに知れるかな会わずに好きでいられるだろうか
「パパになる」という友人会いに来て帰りし後に母の溜め息
日の出前銀色の箱は走り去る二度と会わぬ君をのせて
成人式友と再会懐かしい気持ち新たにまたあう日まで
久々に会う友達の顔変わらず中学のころとった写真と
以上
宮崎大学教育学部国語教育講座に来れば、短歌の詠める教員になれます。
最後に愚詠も記しておこう。
僕の今年が始まった瞬間に立ち会っていた「年越しライブ」で、桑田佳祐さんが繰り返し語った「逢瀬」という語彙を詠み込んだ。「いま」を生きることを大切にするということ。
今はいま明日は新たに生まれなむ「逢瀬」重ぬと佳祐のいふ(中村佳文)
- 関連記事
-
- 「さらさらと/握れば指のあひだより落つ」啄木を携えて砂浜へ (2017/02/13)
- 第21回若山牧水賞授賞式ー「短歌の主題」講演 (2017/02/08)
- 「片への道はいづこ行きけむ」どうしようもなく過去に根ざした現在 (2017/02/05)
- 吉川宏志さん歌集『鳥の見しもの』から (2017/01/30)
- 短歌の「音楽」について (2017/01/24)
- アクティブラーニングと和歌・短歌 (2017/01/22)
- 他者を知ろうとする願望が (2017/01/21)
- 短歌県みやざきの教員養成 (2017/01/11)
- うたをよむことは人生に寄り添うこと(心の花宮崎歌会新年会) (2017/01/08)
- 自作の善し悪し尤も弁へ難き事なり (2016/12/28)
- 短歌県みやざきと読解力 (2016/12/27)
- 万葉集の調べに酔ふ (2016/12/13)
- 「宮崎ねんりんフェスタ」伊藤一彦氏・坪内稔典氏・俵万智氏シンポ (2016/12/11)
- 『心の花』2016年12月号掲載歌から (2016/12/10)
- 「創作に生きる」ということー心の花宮崎歌会から (2016/12/07)
スポンサーサイト
tag :