しびれわたりしはらわたに
2016-12-30
酒の毒しびれわたりしはらわたにあなここちよや沁む秋の風
(『牧水酒のうた』より)
牧水終焉の地・沼津の「牧水会」発行の文庫『牧水酒のうた』には、「酒」が詠まれたうた367首と随想などが収められていて面白い。昨日から休暇を決め込んだのだが、どうしても短歌からは離れらず、常に携帯する岩波文庫『若山牧水歌集』とこの文庫を一冊鞄に放り込んだ。移動中の機内で読んでいると、冒頭に記した歌が気になって手帳に書き留めた。「酒」を「毒」と宣言しつつも、「しびれわたりて」という酔い心地の表現、そして「あなここちよや」の部分に深い酒への愛情が詠み込まれている。また「沁む秋の風」の結句にさりげない季節感が表出しているのがよい。
僕が20代の青い頃に訪ねたことがある、老舗のイタリアン料理店を訪れた。店構えはだいぶ変わってしまったが、魚介類の豊富な「地中海鍋」に灯される「青い炎」はそのままで、当時との時間的距離を実感できた。重厚なコンクリート造りであった2階建の店は、天井までガラス張りのオープンカフェ風な店構えに変身していた。もちろん辛口の白ワインとともに、伊勢海老ばりの巨大海老丸ごと一匹パスタなども堪能し、まさに「しびれわたりて」のちに「あなここちよや」な宵の口になった。食を楽しむのは誠に重要、そこには思い切って躊躇なく。それが人生にあらたな「意味」を与えてくれる。
「毒」ならぬ「妙味」
さらに購入した赤ワインも納得の味
師走の風はなぜか暖かい
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